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「高瀬…、はい。」

「…あぁ、ありがとう。」

高瀬から預かっていた一万円で買ったお昼ご飯を、高瀬に渡した。今日買った、カレーライス大盛りと焼きそばパンとお茶で一万円がなくなった。

高瀬にそのことを話したら、「…そうか。」と言って、何故だか思いつめたような顔をしている。



「あ、…あのさ…、」

「ん?…どうした?」

「えっと、…今日の放課後用事ある?」

「…いや、ねぇよ…。」


良かった…。勇気出して声を掛けて。やっと告白の決心がついたというのに、用事があるとか言われたらちょっとショックだったから…。


「今日、高瀬に話があるんだけど、…いいか?」

俺が高瀬にそう言うと、高瀬は驚いたような表情を浮かべた。
…な、何でだろう?俺から誘うのって珍しかったかな?


「…あぁ、大丈夫だ。

…俺も、仁湖に話がある。」

「は、…話?何?」

「いや、…放課後話す。」

「う、うん。」


な、何だろう?高瀬も何か話があるのかな?
やっぱり一万円がなくなったから、“俺のこと用無しだ”とか言うのだろうか…?

…いや、大丈夫だよな?高瀬はそんな人じゃないことは俺は知っている。
とりあえず今は、マイナス思考は止めて、高瀬にどうやって告白するのかを考えよう。





『俺は高瀬のことが好きです。』


…うーん。
何か普通だよな。男の人が女の人に告白するのならいいかもしれないけど、俺と高瀬は男だ。
もう少し詳しく言わないと、絶対この気持ちは上手く伝わらないよな…。



『男とか女とか関係なしに、高瀬のことを好きになりました。付き合ってください。』



…何だか、堅苦しいな…。
わざわざ自分から男同士のことを言わなくてもいいかもしれない。言ったことで、逆に意識させてしまうかもしれないし…。



『毎日俺に、お味噌汁を作って下さい。』



……あれ?何かおかしくなった…。しかもこれって普通はプロポーズのときだよな。
あ、あれ?告白ってどうすればいいのか分からなくなってきた…。







…そしてこれからのことで必死になっていた俺は…、



告白の言葉で悩んでいる俺の隣で、高瀬も俺と同じように悩んでいることなんて、俺は気付きもしなかった…。





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