「あ…っ、ン、ひぅ…」
そして高瀬は俺の勃起しているペニスを膝で押し潰しながら、ついには胸元を舐めていた舌を、何と俺の乳首のところまで下ろしてきた。
「ちょ、だ、…駄目だって…っ?!ふぁ…ァ」
生温い舌で舐めた後、高瀬はガリっと噛み付いてきた。痛くて、くすぐったい。
そして何より、物凄く恥ずかしい。
……何で高瀬はこんなことをするんだろう?
そんなに俺は高瀬に嫌われているのかな?
「…ひ…、ぅぐ、もう、やめてよ…ぉ。ひぐ、こんなことやだ…ぁ」
そう思うと、すごく悲しくて俺は幼子のように、みっともなくヒックヒックとしゃくり上げて泣き出してしまった。
「………に、…仁湖…?」
「何で、…こんなこと、ひっく…、するの…?」
いきなりしゃくり上げて泣き出した俺に驚いたのか、高瀬は俺の胸元に埋めていた顔を上げ、そして膝の力を抜いてくれた。
「…ひ…っく、ぅ…」
「仁湖………。」
そして高瀬は俺を宥めようと、ポロポロと大量に流れる涙を指の腹で拭い、そして頭をよしよしと撫でてくれた。
「お、…俺のこと、…嫌いなの?」
「………あ゛?」
「き、嫌いなんだろ…?」
「……んなわけあるかよ…。」
「嘘だ…っ!」
俺のことが嫌いじゃなかったらこんなことするわけない。
きっと高瀬は俺のことが大嫌いで、こんな酷いことをするんだ。…きっと、そうだ。
……そこまで嫌われているとは知らなかった。
学校でも俺だけが高瀬と話せているのに、少し舞い上がり過ぎていたのかもしれない。
高瀬はいい人だから、俺を無視することが出来ないで、渋々話してくれていたんだ。
「…ちゃんと言ってよ。…む、無理かもしれないけど、俺少しずつ諦めていくから。」
「に、…仁湖。落ち着け。」
「高瀬は、…俺のこと嫌いなんだろ?」
「それは絶対にねぇ。」
「嫌いじゃないなら、…何でこんなこと……」
俺は高瀬に何度も、「嫌いなんだろ?」とうざいくらいしつこく訊く。だけど高瀬は、「そんなわけねぇ。」の一点張り。
「……じゃぁ、何でこんなことするんだよ………?」
「……だから、それは…、お前のことが、…す…す、す、」
「……す?」
「っ、……ちっ。
それは、自分で考えてみろ…。」
“自分で考えてみろ。”って、だから“俺のことが嫌いだったから。”が答じゃないのか?
………違うなら何?
他にどんな理由があるっていうんだ…?
「…今は上手く言えねぇが、
仁湖のことが嫌いでこんなことしてるわけじゃねぇ。…それは分かってくれ。」
理由は分からないけど、高瀬の言葉に嘘はないようだ。真っ直ぐな目に、低い声。
……俺は戸惑いながらも、コクンと頷いた。
そして泣き止んで落ち着いてきた俺に、高瀬は安心したのか、また頭をポフポフと撫でてくれた。
「……大丈夫か?」
「…う、うん。ごめん。子供みたいに、しつこく訊いて……。」
「いや、そっちじゃなくて、……下の方。」
高瀬のその言葉に、俺は一瞬で頬を赤く染めた。
……そ、そういえば、忘れていたけど、俺の下半身は物凄いことになっている。
「……お、…俺、トイレ行ってくる…っ!」
慌てて立ち上がり、トイレに向かおうとする俺に、高瀬は「待て。」と言って呼び止める。
「…な、何…?」
早く行かせて欲しい。…我慢出来ないのもあるけど、…恥ずかしくて堪らない。とりあえず今は、一人きりになりたいのだ。
「……俺が抜いてやるよ。」
「………“ぬく”?」
「お前がいいなら、扱き合いでもいいぜ。」
「…“しごきあい”?」
聞いたこともない単語に、俺は首を傾げて、馬鹿みたいに繰り返して言葉にする。
「…………………。」
「……えっと、…どういう意味…?」
「…………………。」
「た、…高瀬?」
世間知らずな俺に驚いたのか、高瀬は目を見開いてびっくりしている。
……え?
えぇ?!し、知らないのはおかしいこと?
もしかして普通の人は知っている言葉?
「わ、わりぃ、…仁湖。」
「え?…な、何が?」
何が?と訊いてみるものの、高瀬はぶつぶつと小さい声で訳の分からないことを呟いている。
聞こえてきた言葉は、
“身体で分からせてやれば、気付くと思ったがあそこまで鈍かったとは…。”
“やはり仁湖には言葉にしねぇと伝わらねぇのか?”
“扱き合いをしらねぇって、……あんな天然記念物今頃居たのかよ?”
“あんなに可愛い天然記念物を俺が食ってもいいのか?”
“…やべぇ、…あの身体が壊れるまで、揺さぶりてぇ…”
などなど、何だか俺には理解し難い言葉だった。
考えにふけている高瀬を置いて、俺はその隙に、トイレと向かった。
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