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ピン、ピン、ピン、ピン、ピンポーンッ!




「…ど、…ど、どどうしよう…。」


出るに出られない…。
一向にチャイムは鳴り止む気配がない。
……俺って本当に最低な奴だよな…。
高瀬は俺のことを心配して深夜だというのに、俺の家まで来てくれたというのに…。

お、俺の意気地なし…ッ。
だけどごめん、高瀬。
俺出れる勇気がないです…。
今更どんな顔して出ればいいのか分からないし。
…二人っきりで居るのなんて、恥ずかしくて耐えられない。

俺は心の中で土下座して高瀬に謝りつつも、あからさまな居留守を決め込んだ。





「…………って、…あれ?」




も、…もしかしてチャイム止んだ?
俺が出ないことに怒って帰ったのかな…?
ずっと鳴っていたチャイム音がピタリと止んだ。





………カタ…っ。









え?







「カタ…っ…?」


チャイム音が鳴り止んだと安心していたら、…一階の方で奇妙な音が聞こえてきた…。

ちょ、…ちょっとえぇえっ?!
な、何…?!
も、もももしかして、さっきまでのって高瀬じゃなくて、



ど、泥棒…?


…嘘。どうしよう…?
俺、鍵閉め忘れていたのか…?
いや確かにちゃんと閉めたはず。…だったらさっきの音は何だ?…確実に家の中で鳴った音だ。



泥棒じゃなくて、



もしかしたら、お…おばけ…?





「……………っ」



こ、怖い…っ。どうしよう…?!
俺は怖くて堪らなくて、頭から被っていた布団の中で蹲り身を潜める。






タン…。



タン。



タン…。



タン。





「…ひっ…?!」

俺の部屋がある二階に上ってくる足音が聞こえてきたため、怖くておもわず悲鳴が漏れてしまった。


“やばい、聞こえてしまったかも…”、そう思った瞬間、ガチャリと扉が開く音が聞こえてきた…。



「………っ」



こ、…こわい。
高瀬だとしても、泥棒だとしても、おばけだとしても、確実に俺の場所は分かっているだろう。
だってあからさまに布団が盛り上がっているだろうし…。

俺は恐怖で半泣きになりながら、バレていると分かっていながらも必死に息を潜めた。
……だがやはり俺の努力は虚しく、部屋に入ってきた人物は迷いもせずに、一直線にベッドに近づいてきた。




………布団を捲られる…っ!



ギュッと押さえて捲られないようにしていたのだが、強い力で引っ張られ、いとも簡単に捲られてしまった…。


そしてギュッと瞑っていた目をソー…っと開けて見てみると、




「…居留守まで使って、俺をそんなに怒らせたいのか?仁湖のしたいことはよく分かった。


………徹底的に躾けてや……っ?!」



「高瀬っ!」



……そう。そこには高瀬が居た。
泥棒やおばけなど最悪のことを考えていたのだが、やはり高瀬が居てくれたのだ。
俺は嬉しくて、高瀬が喋っている途中で思わず抱きついてしまった。




「…………っ…?!」


「…た、高瀬でよかった…っ。俺、ずっと会いたかった…っ。」


涙混じりにそう言うと、高瀬は先程までの怒りがなくなったのか、ギュッと抱きついている俺を抱き返してくれて、そのまま宥めるように頭を優しく撫でてくれた…。





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