ドコカラキイテタノ?








この高瀬への“思い”はバレては駄目だと昨日までは思ってた。

平凡で、しかも男。
女の子みたいにふわふわしていて可愛いわけでもない。
性格だって優しいわけでもない。
高瀬とは全く釣り合わないのは分かっている…。


高瀬は凄く格好いい。男の俺でもドキドキしてしまうほどだ。
そして喧嘩も強い。少し恐い顔をしているけど、凄く優しい。
…こんな高瀬は女の子に凄くモテる。
毎日一緒に帰るようになって改めて分かったことだ。同じ学校の女の子だけではなく、他校の女の子にも告白されているところを何度も見ている。……高瀬は興味なさそうに断ってたけど…。


「…言わないと伝わらないよなぁ…」

俺は高瀬の髪の毛を撫で続けながら、ボソッと呟く。
…「バレたら駄目だ」と思っている半分、俺は心のどこかで「この思いを伝えたい」とも思っている。

この気持ちに初めて気付いたときは絶対に高瀬に打ち明けるつもりはなかった。…嫌われるのは分かっているから。
……だけどやっぱり側に居れば居るほど、この思いは大きくなるわけで。

“高瀬のことが好きって気持ち”を誤魔化せなくなってきたのだ。





「……勇気を出して、」


伝えてみようかなぁ…。

“嫌われるのも嫌”。
“今の友達関係も嫌”。

とことん都合のいい奴だ、俺は。
だから俺はおもいきって前に進んでみようと思った。

こんな苦しい思いをずっとするくらいなら、ぶち当たって砕け散ったほうがいい。後悔しない道を選びたい。
そう思った俺はこの思いを隠さず、高瀬に伝えようと決心した。



「………このお金…、」


そうだ。
この高瀬から貰った一万円がなくなった日に告白をしよう。…もしかしたら高瀬との繋がりがなくなってしまうかもしれない日。
どうせ繋がりがなくなってしまうのなら、この思いを高瀬に伝えたい。

……きっと伝えないと一生後悔する。
俺はそう思って、この高瀬から預かった一万円のお金を全て使い切った日に告白しようと決心した。





「……高瀬お大事に。放課後迎えにくるから。」

俺はぐっすりと気持ち良さそうに寝ている高瀬の額に触れるか触れないかの擦れ擦れのところで、チュッと音を立ててキスをする。
……高瀬が寝ているときに、しかも顔を真っ赤にして全然格好は付かないけど、今の俺は少し進歩したと思う。

俺はその後、高瀬の髪の毛をクシャッと撫でて高瀬の寝息が聞こえる保健室から出て行った……。















「……殺す気かよ、

……馬鹿野郎。」


そして早々と保健室から出て行った俺は、顔を真っ赤に染めて、俺がキスした額を押さえたまま、前屈みでトイレに向かう高瀬の姿があったことなんて、知る由も無かった…。





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