「…な、ななな、…何して…っ?!」
触れ合った額。
ぶつかった視線。
顔に掛かる吐息。
……物凄く至近距離に高瀬の端整な顔があり、俺は驚きとドキドキが止まらず、心臓をバクバクと鳴らす。
「……すげぇ、熱い。熱出してるんじゃねぇか?」
ね、熱………?
あぁ…。俺が熱を出しているのかと思って高瀬はこんなことをしたのか…。
な、何だよ、何か俺だけ変に意識して、馬鹿みたいじゃないか…っ。
べ、別に悲しくなんてないけど……。
「だから、…なんともないって…っ。」
「でも、熱い。」
だ、だからそれは熱とかじゃなくて、
……高瀬の顔が近いから、体温が上昇しているだけで…。
別に熱を出しているわけじゃないんだって。
「ほ、…本当になんともないから、早く離して…」
これ以上こんな至近距離で居たら、俺の気持ちがバレてしまいそうで怖い。
だけど、…俺の顎を掴んでいる手と、…そして更に俺の腰を掴んでいる高瀬の手が俺を離してくれない。
「お、…お願いだから…。」
「…そんなに焦ってどうしたんだ?」
「別に、どうもしないけど…」
「顔、真っ赤だぞ?」
「だ、だからこれは、…その、えっと…」
「………仁湖、お前もしかして、
………照れてるのか?」
「……っ?!」
直球ど真ん中。
大当たり。
……図星を指されて俺はおもわず、ビクッと身体を震わせてしまった。
そんな俺の様子を見て確信をついたことが分かったのか、高瀬は額と額をくっ付けたままの至近距離で、ニヤリと笑った。
……その高瀬の表情が格好良くて、俺は更に体温を上昇させてしまう。
「……何で、恥ずかしいんだ?」
「ち、…ちが…っ」
「違わねぇだろ…?俺を意識してる?」
「…だから、その………」
何て言えばいいのか分からない。
それに何で高瀬がこんなことを訊いてくるのか分からない。
………そして、何で高瀬がこんなに嬉しそうなのかも、俺には分からない。
「仁湖、…どうなんだ?」
「あ、…えっと、」
「はっきり言えよ。…正直に言わねぇと、仕置きだ。」
「し、…仕置き…?!」
こ、怖…ッ。
どんなお仕置きなんだ…?高瀬のことだから、きっと凶悪で凶暴なやつに間違いない。
俺はその仕置き内容が少し気になって、恐る恐るだが高瀬に訊いてみることにした。
「それって、……例えば、どんなの?」
「…そうだな、…尻叩きとかか…?」
「な、何だよそれ…?!子供扱いするなよ。」
お尻ペンペンって、俺はそんな悪餓鬼ではない。
「だったら、
大人の仕置きを受けてみるか…?」
俺は高瀬のその言葉を聞いておもわず、
ゴクリと喉を鳴らしてしまった。
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