……高瀬のことを“恋愛感情”で好きだと気付いた俺は高瀬に対して態度が少し変わった
それは悪い方向にだ…。
話しかけられて、触られて、嬉しいはずなのに何処か素っ気無く返事をしてしまうし、すぐに高瀬から離れてしまうようになった。
変に意識していると高瀬に怪しまれそうだし、
……それに嫌われてしまいそうで嫌なんだけど、これはどうしようもない。
だって、
恥ずかしいし……。
好きだと分かる前はこんなことなんてなかったのに…。
恋っていうものは厄介で、苦しくて、自分を上手くコントロールできなくなる。
辛い部分も多いけど、恋っていうのは楽しい部分も多いから凄く楽しい。
……例えば、
朝一で届いたメールの一通一通に保護を掛けて、読み返したりとか。
高瀬と日常の会話をしているだけで、凄く楽しくなったりとか。
不意に触れ合った肩に嬉しくなったりとか。
例に挙げたらきりがないくらいたくさんある。
「…おい、仁湖…。」
「へっ?!…あ、…えっと、な、何っ?!」
脳内トリップをしていた俺を見て、不思議そうに眉を顰める高瀬。
……そんな顔すら格好いいとか思ってしまう俺は末期だろうか…?
「…顔赤いけど、大丈夫か?」
「………顔…?」
顔が赤い?
……あー…、何か色々と考えてたら自然に頬が赤くなっていたのか…。
「だ、大丈夫。何ともないよ。」
「大丈夫そうじゃねぇから、訊いてるんだ…。」
高瀬に心配してもらえるのは嬉しいけど、…心配そうな表情をする高瀬を見て俺は少し落ち込む。
高瀬にこんな顔をして欲しかったんじゃないのに…。
「全然大丈夫だから、心配しないで…………っ、って、うわっ…?!」
俺は言葉を言い終わることが出来なかった。
……何故なら、
高瀬に顎を掴まれて、高瀬の額と俺の額をくっ付けられたからだ…。
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