「あ、…えっと、」
同じ学年で、一年のときは同じクラスだった佐藤さんだ。
「え?…も、もしかして俺を呼んだのは、佐藤さん?」
「う、…うん。」
…まじか。
な、何で佐藤さんが俺を呼び出すんだ…?
「いきなりごめんね。」
「あ、…いや、大丈夫だけど……」
何で学年一可愛い佐藤さんが……。
「来てくれてありがとう。」
「うん……。」
「あのね、その、…手紙呼んでくれたのなら、もう気付いているかもしれないけど、……私、仁湖君が好き…。」
「………え?」
……嘘…?
冗談とかじゃなくて…?
罰ゲームとかじゃなくて…?
佐藤さんのいきなりの告白に俺は驚いて固まっていたら、佐藤さんは話してくれた。
「あのさ、仁湖君…私が不良達に囲まれているとき助けてくれたんだ…。覚えてるかな…?」
あぁ、…もちろん覚えている。
不良たちに囲まれている佐藤さんを見つけて、俺は震えながらその輪に乱入したんだ…。
だけど……、俺凄く格好悪かったと思う…。
足もだけど、声もかなり震えていた…。
「そのときから、…私仁湖君のこと好きでした。」
「……あ、……えっと…、」
頬を真っ赤にして俺のことを好きだと言ってくれる佐藤さんに、俺は戸惑う。
どうやら罰ゲームとかじゃないらしい…。
好きっていう気持ちが、凄く伝わってくる……
「その、…返事貰ってもいいかな……?」
……どうしよう……。
一週間前の俺なら迷いもせず、この告白にOKしているだろう…。
むしろ俺から頼み込むくらいだ…。
性格もいい。頭もいい。…完璧な人間なんだ、佐藤さんは…。
なのになんで俺は迷っているんだろう…。
なんで、
……高瀬の顔が出てくるんだろう……?
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