「…な、何だよ……っ?!」
び、びっくりした…!
高瀬に椅子を蹴られるのなんて久しぶりで、この恐怖を忘れ掛けていた。
「……変なこと言ってんじゃねぇよ…」
高瀬はそう言うと、俺から視線を外した。
「…ご、ごめん。」
少し前の俺なら、多分恐怖以外の何物でもなかった。
だけど俺はもう高瀬のことは色々と知っている。
これはただ単に高瀬は怒ってるんじゃなくて、
…照れてるんだ。
その証拠に、高瀬の耳は赤く染まっている。
俺はそれを横目で見ながら、これ以上高瀬を怒らせないためにもう一度素直に謝った。
「ごめん、高瀬。」
だけど高瀬は耳まで真っ赤にしたままこっちを向きもしないし、言葉も発しない。
…とんでもない照れ屋なんだと思い、俺はおもわず吹き出してしまった。
「………あ、」
そうすれば、
……高瀬は頬を赤く染めたまま、俺をギロリと睨んで、
また椅子を力強く蹴ってきました…。
_______
朝目が覚めると、高瀬からのメールがきている。
これは毎日恒例だ。
ただ一言、「おはよ」。
俺も最初と変わらず、「おはよう。」
たったそれだけの文章だけど、高瀬からメールがきていると思えるだけで凄く嬉しい。
弁当を作って、俺はいつもと同じく早い登校をする。
……ここまではいつもと一緒。
夜寝る前に高瀬からのメールがきて、朝目が覚めたら高瀬からのメールがきている。
そして俺も高瀬も早く登校して、ただ二人でダラダラと喋る。
…ただ今日少し違ったのは、
俺の靴箱にピンク色の封筒が入っていることだ……。
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