俺はシーツをギュッと胸元で握って高瀬のことを睨み付けると、高瀬は楽しそうに口角を上げた。
「…何だか、…すげぇそそるよな。」
……今の高瀬の言った意味が分からず、訊いてみると、変態高瀬の頭の中では次のような考えが出来ていたらしい……。
自分の、しかもぶかぶかな服を着て、眠っている俺。
しかもベッドの中、二人で。
朝目を冷めると俺から高瀬に抱き付いて擦り寄ってきた。
そして擦り寄ったことがバレて恥ずかしそうにシーツを握り締めて、顔を真っ赤に染めらせる俺。
…何かよく分からないけど、完璧なシチュエーションらしい…。
俺には理解できない。
「えーっと、…今何時だ?」
枕元に置いていた携帯画面を見る。
ん?
「11時?」
あれ?
見間違えじゃないよな…?
「…じゅういちじ…?」
俺は高瀬に現在時刻を確かめるように訊く。
「あぁ、11時だ。」
「…え、……ちょ、えぇ…っ?!
ち、遅刻じゃねぇか?!
お、起こせよ馬鹿高瀬!
三時間も俺なんかの寝顔を見る余裕があるのなら、早く起こせっつーの!
今日も学校あるんだぞ…っ!
「…ほら、高瀬も早く用意しろって。」
「今日は休もうぜ。」
「はぁ?ダメ、絶対ダメ。」
「何で……?」
「何でも何も、学校だろ?勝手に休んじゃ駄目だ。」
二人でこのままズル休みをしようと誘ってくる高瀬を俺はスルーして、学校に行く準備を慌しくしていく。
「ほら、早く。」
「………仕方ねぇ…。」
未だにベッドの中に居る高瀬の腕を引っ張ると、仕様がないという感じで、渋々高瀬はベッドから出る。
「洗面所使ってもいい?」
「あぁ、好きに使え。」
「ありがとう。」
高瀬に了承を得て、俺は所々跳ねている髪の毛を押さえながら鏡の前に立つ。
そしてぴょんっと跳ねている髪の毛を直そうと、手を濡らしているところで、あることに気がついた。
「………あれ?……何だこれは?」
昨日寝る前にはなかった、
首もとの赤い痕……。
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