「………ん…」
少し肌寒くて、俺は本能のまま暖かいほうへと身体を寄せる。
…暖かい……
どんどん暖かい方へと擦り寄ると、身体をギュッと抱き締められた。
「……ん……ぅ?」
重たい瞼を開けて、視界に入ってきたのは、
……逞しい胸板。
え?
あれ?
「…う、…わぁ…っ?!」
そ、そうだった…っ。
昨日は高瀬と一緒にベッドで眠ったんだった……っ。
高瀬は、まだ寝てるのかな?
………や、やばい。
無意識の内に、高瀬の胸元に擦り寄せてた…っ。
ば、バレてないよね…?
俺はチラッと目線を上げ、高瀬の方を見た。
……すると、
「……大胆だな、仁湖……」
バチッと高瀬と目が合った…。
うわぁぁっぁっ!!
ば、バレてた…っ。
「…い、いつから起きてた……?」
「ん?…仁湖が起きる3時間前。」
え?
そんな前から?
「何してたんだよ…?」
「…ずっと仁湖の寝顔見てた。」
「ば……ばっ…?!」
お、俺変な顔してなかったよな…?!
大丈夫だよな…?!
涎とか出してたら嫌だな…ぁ。
「馬鹿、見んなよ…っ!」
見られていたことに恥ずかしくなって、俺は顔を真っ赤に染める。
何だか昨日から顔を真っ赤にしてばかりだよ、…俺……。
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