3.初日からの問題児



「よし、行くか」
「は?」
「は?じゃねぇーよ、バレー部」
「はい?」


入学式初日のホームルームが終わると突然影山が主語のない言葉を投げかけてきた。


私が疑問を持って影山に尋ねると、意味がわからないという顔をしていた。


いや、私のほうが分からないわ。中学の時も思っていたけど、影山はバレー以外のことに頭を働かすのが苦手だ。そういう意味が分からないことを言われた時に大抵折れて諦めるのは私。



「体育館、男子バレー部のマネージャーしねぇの?」
「なんでそうなる。私中学の時帰宅部だったじゃん」
「前、及川さんが榎崎は高校生になったら男子バレー部のマネするんだ!って言ってたぞ」
「.....」



あのクソ及川!


あ、及川というのは私の幼馴染み。
幼馴染みの私が言うのはあれだが、贔屓目無しにイケメンである。だけど性格に難があって、私は苦手である。だから距離を取りたい。



「はぁ、それ及川さんの嘘だよ。私は高校も帰宅部希望」
「帰ってもやることねぇならマネージャーしろよ」
「.....」
「見学こいよ」
「はぁ、今日だけだからね」



影山は強引というか諦めないという言葉を知らないのだろうか。私はそんな影山に折れて男子バレー部が練習している体育館へきた。
まだ体育館には誰も来てなくて、影山は1人でサーブ練をしようとしている。


間近で影山のプレーを見るのは2回目だ。1回目は中学の時友達と中2のときに見たことがある。それっきり見たことは無い。


影山がジャンプサーブをしようとサーブトスをあげた時、



体育館の入口から大きな声が聞こえた。


私も影山も驚いて声の方を向くとオレンジ色の髪の私よりちょっと身長が高い男の子が影山を指さしていた。


知り合いかな?


「いで」


あ、ボールが影山の頭に当たった。


少し遠くの所に私はいるけど、今影山が「クソ下手くそな奴!」と言ったのは確実に聞こえた。


辛辣だな...



そんな中、上級生らしき人達が体育館に入ってきた。やっぱ上級生って雰囲気が違う。2つ1つしか変わらないのに大人に見える。


ってか影山とオレンジの髪色の子は喧嘩してない?


多分主将さんらしき人の話聞いてないし、


「ちょ、影山...」
「げ、教頭.....!」
「先生だろ!」


私もその喧嘩の仲裁に入ろうと思った時、体育館に入ってきたのは、カツラの教頭先生。間近で見たけど、カツラズレてない??


いやいやそんなことよりも



「影山!人の話聞きなよ」
「.....」


折角面倒臭いと思いつつ、影山に忠告したのにあいつ、シカトしやがった。マジでなんなの、人をここまで連れて来といて、



「君は?」


色素の薄い髪色の先輩が声掛けてきた。


「あ、榎崎です。影山に連れて来られた被害者です」
「マネ志望?」
「いえ....ぶっ!!」



私がその問に答えようとしたらオレンジ色の髪色の子がレシーブしたボールが教頭先生の顔にぶつかってカツラが飛んでいった。



もうそれは滑稽で、笑っちゃいけないのに笑ってしまった。






初日からの問題児
(部活には一切参加させない!)(え?なんで私も?)







人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -