13.エースと守護神



武田先生が連れてきたのは坂ノ下商店のお兄さん。なんでも烏野が全国大会に行った時の監督さんのお孫さんらしい。世間は狭い。


そして、急遽組まれた烏野町内会チームとの練習試合。西谷さんはリベロだからてっきりこっちのリベロをするかと思ったけど、なんらかの理由で町内会チームに入っていった。




「あっアサヒさんだっ!!」



日向が窓枠の柵に掴まって”アサヒさん”を呼ぶ。



アサヒってエースの人の名前?


前影山と日向がエースに会いに行くって3年生の教室へ向かっていったのを覚えている。その人か!!




「でか...顔こわ...」
「ふ...」
「潔子さん!」




旭さんが体育館に入ってきた時に私が漏らした言葉を聞いていた潔子さんが素早く反応してクスクスと笑いだした。



う、潔子さんだから許すもん。



「ごめんごめん、でもあれがうちのエースの東峰旭」
「おー」




大きい、とりあえず大きい!あと顔が怖い。
きっと私が聞いた情報だと今私が言った言葉に旭さんは傷付くんだろうな、ガラスのハートを持ってるって菅原さんに聞いた時言ってたな。





お互いのチームの人数が揃ったところで、練習試合が始まった。私は詳しくは知らないけど、菅原さんや西谷さん、旭さんの3人の間で私たち1年が入部する前に一悶着あったのは交わされてる言葉で分かった。





旭さんが打ったボールは3枚ブロックに阻まれて、コートにボールが落ちると思った瞬間、西谷さんがボールを拾った。


ん!?すごっ!



「だからもう1回トスを呼んでくれ!!エース!!!」



西谷さんの懇願するような声で旭さんに叫ぶ。



「菅原さん!!もう1回!!決まるまで!!!」



え?影山が今相手チームじゃん。
なんで?


「スガー!!」



旭さんがどこか吹っ切れたように菅原さんにトスを要求した。菅原さんがあげたトスはきっと、旭さんが好きなトスなのかなって素人のはぼんやり見ていた。



旭さんが打ったスパイクは、さっきとは違って、ブロックを打ち抜いた。



「すごい...」



これがエース...。ふと影山たちのコートを見ると影山と目が合ったがすぐに目を逸らされた。なんなんだあいつ、失礼だな。




次は影山と日向の変人速攻が決まりだした。
誰が変人速攻って名付けたんだっけ。ほんと変人速攻っていうのはわかる、やってる2人が変人だし。



でも1セット目は町内会チームの勝利。



私は町内会チームのサポートを任されているので、ベンチに戻っていた方々にスクイズ等を差し出す。



「西谷さんさんも旭さんも菅原さんも凄いです!信頼関係っていうんですかね!?それを感じます!」
「ありがとう」



3人は笑って私の頭を軽く叩いて再びコートに戻っていった。



その後、日向がぼんやりしていたのか顔面に旭さんのスパイクを受けて吹っ飛んだり、それを見て影山が怒鳴り散らしたり、相変わらず前途多難な2人だなって思った。でも2人は前を向いていて、すごいなって心からそう思った。



そこからは日向の調子も戻り、互角かなって思ったけど全然そんなことはなくて、町内会チームはベテランの余裕を感じられて、点差は開いていった。


結局、町内会チームの勝利。



負けたけど、エースと守護神の活躍をみれたから、私的には大満足の練習試合!




あと1週間後、GW合宿が始まる。









エースと守護神
(凄かったね!)(...おう)







「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -