46.真選組動乱篇1
ふとした時に思うことがある。
この世界があの銀魂の世界であっても私が知っている偉人の名前をもじった人達がいる以上、歴史的流れは一緒なのではないかと。


私が知っている新撰組···幕末···1867年慶応3年、伊東甲子太郎らいよる近藤勇暗殺計画···油小路事件。


近々そういうことがあるのかなーって思ったりもしたけど、あの近藤さんが暗殺ねーってのんびり考えていた。でももし、伊東って名前の人が登場したら、歴史的流れに沿って近藤さん暗殺計画が実行されるかもしれないし、されないかもしれない。


私がなぜこの世界に来たのかは本当にわからないけど、物語の結末を変えることは許されることではないだろう。


あの事件は結果的に近藤勇は暗殺されず、伊東甲子太郎ら御陵衛士らが暗殺されたからだ。だから、きっと近藤さんも死なない。だってあの人の側には沖田さんと土方さんがいるんだもん。





「山田さん、なんですか、この荷物」

「あーそれね、先生のよ」

「先生?」

「そう先生。伊東鴨太郎先生。なるちゃんんとは入れ違いで外に長らく仕事をしていた参謀なのよ。偉い人」

「へぇー」


いやいや、なんで最近考えていた歴史的流れが今来るかな?


伊東鴨太郎···絶対、真選組は真っ二つに割れる。





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先日、伊東鴨太郎さんが屯所に帰陣した。初めて見る伊東さんの印象は頭が固そうで、私は苦手だなって感じた。あと、心の奥底で自分より下だと思う人を見下してそうな瞳をしていた。挨拶した時に向けられたあの瞳には、私に対する軽蔑と哀れみ、そして疑いを持っていた。どの瞳も向けられたことある私にはそれはすぐに感じ取れた。でも近藤さんに向けていた瞳には一切それらを感じることはなく、羨みの瞳をしていた。きっと近藤さんのように隊士たちに慕われている人に対しての嫉妬の瞳にも見えた。



そんな中、私は洗濯物を隊士の部屋に運ぼうとしているときに偶然聞いてしまった。土方さんと伊東さんの会話を···。



”いずれ殺してやるよ”


銀ちゃんとの相性の悪さじゃない仲だろうなとは薄々感じてはいたが、想像以上だ。


これは、本当に油小路事件のように真っ二つに割れる抗争事件勃発な予感。



「潮崎」

「へい」


私は土方さんに呼び止められた。


「お前、俺と伊東の会話聞いてただろ」

「気づいました?たまたまですよ。おふたりと私に気づいたのに会話してただなんて趣味悪いですね」

「うるせぇな」

「伊東に気をつけろ でしょ?」

「分かってたか」



土方さんは優しい人だ。素性もしれない私を不審に思っている伊東さんに気づき、声をかけてくれたのだ。あとあの会話も聞いているし



「土方さん、私も1ついいですか?」

「なんだ···おぉぉ!?ともえちゅっぁぁあん!!」

「は?」



きっと分かってはいることだろうけど、伊東さんが怪しいことを伝えようとしたら突然土方さんは叫び声を出し自分の部屋に戻ってしまった。


「ってかともえちゃんってなに?」



私は疑問に思い、こっそり土方さんの部屋を覗くとテレビの前で正座をし画面を食い入る様に見る土方さんの姿があった。え?土方さんってアニメオタクなの?いや、オタクは悪いことではないよ?経済回してるし···いや、でもこれは、完全にキモオタの分類に入るのでは?



「今日もか···」

「重い···」


襖の隙間から部屋を覗いてた私の頭に沖田さんの顎が置かれる。


「丁度いい位置にあるんでさァ」


今日もってことは昨日もこんな感じだったのかな···


「あ···」


私と沖田さんの気配に気づいた土方さんと目が合った。やべ、怒られると思ったが、土方さんは私と沖田さんをファミレスに連れて行ってくれた。口止め料だ···。


「···全ては刀を手に入れてからおかしくなった。どうやら俺はホントに妖刀に呪われちまったらしい」



だはははは



沖田さんの変な笑い声がファミレスに響く。ってか肩に腕乗せないで欲しい。重い。


土方さん曰く、刀を新調してから、人が誰しも持っているヘタレた部分が目覚め始めているらしい。沖田さんの弄りにも反論せず、ヘタレている。


刀を捨てたくても捨てられないぐらい土方さんは、刀に取り憑かれているらしい。土方さんは妖刀のせいで局中法度を何度も侵しているらしい。それを伊東さんが隊内で触れ回っているらしい。


「あのー」

「なんでィ···」

「土方さんがヘタレになった今言うのはアレなんですけど。私、伊東さんが真選組丸ごと潰す気何じゃないかなって思うんですよね。あと、近藤さん暗殺計画たててそう」


私は一かバチか史実に基づいたことを言葉を少し濁しながら2人に言ってみる。


「っは、何言ってんだ。オレたちを丸ごと潰すよりも1番上に立ちたいのは合ってるかもな···」

「それって近藤さんを局長の座から引きづり降ろすってことでしょ?だったら暗殺も···」


土方さんは鼻で笑っていたが、危惧していたことはだいたい同じらしい。


「俺がそんなことさせねぇよ」



ヘタレな今、そんなことが土方さん一人で出来るのだろうか。



「お前らも俺なんかといると伊東に目を付けられるぞ。ま、潮崎は目をつけられてる可能性は大だが···」

「やっぱりか···」

「ま、総悟もいることだし、上手くやれや。俺ァ仕事だ···行くわ」

「···土方さん。待ってくだせェ土方さん!!」


寂しそうに呟いた沖田さんは、土方さんの肩を掴む。気に食わねぇって言ってたけど、やっぱり沖田さんも土方さんのこと心配なんじゃん。


「焼きそばパン買ってこいよ。あとジャンプもな。勿論お前の全てで」


うん、沖田さんは沖田さんだ。めっちゃ楽しんでるもん。


ファミレスに残された私たちは頼んでいた甘味を2人して黙って食べていた。


「なる」

「へい」

「なんかあったらすぐ言えよ。土方さんも言ってたが伊東さんはお前を不審に思ってる。それも近藤さんが拾った命ときたモンだ。気ぃつけな」

「···はい」

「あと···」

「え···」


沖田さんは何か小さく呟いたがファミレス内特有の音で私の耳に沖田さんの言葉は届かなかった。


「会議あるわ、行くぞ」

「はい」


私は先に出ていった沖田さんの隣に走って追いつく。沖田さんが伊東さんのことをどう考えているかわからないけど、もし、抗争事件が起こったなら沖田さんは、絶対近藤さんを裏切ることはない。


私がここの世界にきて私に言った言葉は彼の絶対なんだから。だからどうか、神様がいるなら、ここの世界では、史実に基づいて話が進みませんように。






歴史は変えることのない事実
(沖田さんたとでジャンプ貸してください)(お前何読んでんでィ)(なると)

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