45.美人の宣戦布告
今日はいい洗濯日和。
美咲と一緒に洗濯物を干しているときだった。


「なるちゃん、最近沖田さんとすごく仲良いよね」

「え?」



何を言い出すんだ、美咲は。私と沖田さんが仲良い?確かにミツバさんが亡くなったあと、元気がない沖田さんに前みたいに接して欲しいとは言った。前よりも扱い酷くなってる気がするけど、距離が近いのは確かだ。用事があって話しかける度に顔を近づけてくるのは、正直やめて頂きたい所存。ずっと言ってるけど沖田さん、顔だけはいいんだよ、あんなイケメン目の前にいるのは本当に慣れない。


「私からみると恋仲みたい」

「恋仲···?」


私と沖田さんが?
いやいや、ないな···距離近いけど絶対!ない!


「沖田さんって顔いいでしょ?言い寄ってくる女の人多いんだよ。まぁ断ってるらしいけど。私もその場面前見たことあるけど、すごい冷たかった。前は結構遊んでたって言う噂聞いた事あるからそれ聞いて1晩だけでもって言う女の人絶たないらしいの。」

「へぇー」


え?沖田さん結構遊んでたの?


んん、意外と言うかなんというか、モヤモヤする···。


「けど、なるちゃんに対しては違うの。なるちゃんから沖田さんの近くに行っているわけではなく、沖田さんがなるちゃんの傍に行ってる気がするんだよね」


だいたい沖田さんが私に近づいてくる時は、ちょっかい出すか土方暗殺計画の手伝いなので、美咲が考える甘い雰囲気はない。



「パシりだよ、パシり!」


私は沖田さんの隊服のシャツのシワを伸ばしながら美咲に答える。


「そうなの?」

「そうそう···」


自分が標的にされる恋バナは本当に苦手だ。早く終わらせたい。


美咲ぐらいの歳になると恋バナが好きなのかもしれないけど、私は早く洗濯物を干して逃げ出したい。まぁ、美咲、私より歳上なんだけどね。


「なるちゃんが沖田さんに気がなくて、沖田さんもなるちゃんに興味ないなら、私狙っていいかな?」

「ん···?」

「だからね、沖田さん。私、好きになっちゃったの」

「え?」




いやいやいやいやいやいやいやいや!


え?美咲が?沖田さんを···好き?


えぇ!?彼氏いたくない!?


「彼氏さんは?」

「恥ずかしながら上手くいってなくて···」


美咲の話によると、美咲の彼氏さんは最近浮気しているらしく、そのことを知った美咲は彼氏への熱が冷めたらしい。そんな時、真面目に働いている沖田さんを見て、キュンとしたらしい。所謂ギャップ萌えらしい。


ってか、なんで美咲わざわざ私に報告してくるんだろう。






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「で、どう思う?銀ちゃん」

「前振りなっげぇーよ!!」

「丁寧に説明した方が頭すっからかんな銀ちゃんにはいいかと思って」


あれ以上、美咲といると恋バナという名の沖田さん調査を受けそうだったため、依頼という名目で万事屋に逃げてきたのだ。


「そのすっからかんってやめてくんね?ってかよ、その美咲の女中?わざわざなるちゃんによォ、沖田くんが好きって言うのはよォ、宣戦布告なんじゃねぇーの?」

「宣戦布告?」

「なるはあのドSのこと好きアルか?」

「···いや」


私が持ってきたケーキを頬張る神楽。


「でもなるさんが沖田さんのことを好きじゃないなら気にしなくていいと思いますし、なるさんが沖田さんのこと好きでも気にしなくてもいいと思いますよ」

「え?」


ちょ、にこにこ笑ってる新八くんが言っている意味がわからない。分からなすぎて、眼鏡ぶっ壊したい。


「つまりだなァ、沖田くんは「旦那ァ···」」



銀ちゃんの言葉を遮ったのは、足音も立てずに万事屋に入ってきた沖田さん。


「てめっ!何勝手に入って来てるアルか!」

「うるせぇ、クソチャイナ!」


神楽と目が合うなりケンカを始める沖田さん。
そんな2人を無視して私は、銀ちゃんが何を言おうとしていたか、気になりまた聞く。


「銀ちゃん、なんて言おうとしてたの?」

「それはだなァ···」

「旦那、これやるんで黙っててくだぜェ」



沖田さんは絶対に銀ちゃんに言われたくないらしく、口止め料として有名ケーキ店のショートケーキを渡していた。



「まぁ、なるちゃんよォこれだけは言っとくわ。美人ほど裏の顔はこぇーってことだ。気をつけな」

「なんか自分が経験したかの言いようだね」

「そんなんじゃねぇーよ」


美人の裏の顔か···。


「行くぞ」


沖田さんは私の手を握り、万事屋を出ていった。


あ、そうだ、変わった点と言えば距離が近いほかにこうやって外に出た時に迎えにきてくれて、なんなら手を握ってくれることかな。あー!自分で分析して、顔が赤くなっている気がする。


「お前、手繋ぐぐらいで顔赤くしてんじゃねぇーよ」

「いっつも沖田さんが不意にこういうことするのが悪いんですぅ!」


手を握ってくれるのは凄く恥ずかしいけど、沖田さんからしてくれるから断るのは後が怖いし、なにより沖田さんの掌の体温が心地よくていいかなって思いました。


この時はこの美咲の宣戦布告が、後に大きな事件を引き起こす1件になるとは、私も沖田さんも万事屋のみんなも知るよしはなかった。








美人の宣戦布告
(万事屋に行く時は必ず俺に言え)(神楽とケンカするのやめてくれたらいいですよ!)

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