12.怖い話をすると寄ってくると言うよね
「あれは今日みたいに蚊がたくさん飛んでいる暑い夜だったねェ···」


稲山さんの怪談話。



なぜか夏ということで誰の提案かわからないけど、怖い話大会が開かれていた。みんなでいるときは平気だけど、一人になると一気に怖くなるタイプなんだよな、私。稲山さんの話はそろそろオチに入ろとしてたとき、



「マヨネーズが足りないんだけどォオ!」


「ぎゃああ!!」


どこぞのマヨラーのせいで、ある意味台無し。変な叫び声出だし。



やべ、心臓バクバクいっとる。寿命縮んだわ···これ。



なにあの人のマヨネーズへの執念、くそ怖いんだけど···。




「潮崎!ストックはどうした!!」


「今日、ストック買う日じゃありませーん。この前言うとおりの数買ってきましたー」


「お前が買ってきたのは普通のサイズだろうがァア!!」



誰が業務用マヨネーズ買わねぇといけねぇんだよ。まじで自分で買え。


土方さんのせいで、怪談話はお開きになった。



あ、近藤さん死んでる。この人、やっぱ威厳なくね?



でも土方さんのおかげで一人でトイレ行けるわ、あざーす、マヨ。





「ひでーなオイ、これで何人目だ?」


「えーと18人でさァ」


「え、昨日も出たんですか?17人分しかタオル用意してないや」



真選組屯所内の道場は、原因不明の熱っぽいのを出して倒れた隊士たちの療養場になっていた。


倒れた隊士たちは口々に赤い着物の女がとか言っている。



稲山さんの話に出てきた女の人だ。


ちなみに私は、濡れタオルを額から変える係。通常の仕事より楽かも。


今、真選組は隊士たちがあんな状況なので、女中の半分が休みで私もほぼ休みなようなもんだ。だから真選組トップ3と有意義にお茶を飲んでいる。




「局長!連れてきました!」

「オウ山崎ご苦労!」

「街で探してきた拝み屋です」

「どうも」



···胡散臭くね?ミイラっぽい格好してる人の声、銀ちゃんの声に似ている気がするんだけど、違うかな。




「オイオイ冗談だろ、こんな胡散臭い連中···」


「あらお兄さん背中に···」



神楽の声じゃね?
神楽だよね?


「土方さん、背中に何かいたんですか?やだー怖いー」


「ありゃ、土方さんがフッた女の霊でさァ」


「あら!モテる男は違いますなー」


「なに!?拝み屋もお前ら切っていい!?」



私と沖田さんのアメリカンジョークにキレる土方さん。ヘビースモーカーだから頭の細い血管も切れそうだな、そんなにカリカリしていると。



客間に拝み屋を連れて、霊の仕業かどうかをきく。神楽の声に似てる人がなんか工場長がなんたらいってた。なぜに工場長。



そして私の隣にいる山崎さんに霊を降ろして除霊するって言ってたけど、土方さんの言うとおり、ボディブローが入ったようにしか見えなかった。



拝み屋の人たち3人が揉み合いになり、被っていた帽子とかがとれた。


拝み屋の正体がバレる。



「やっぱり万事屋かよ」



蝉の鳴き声がこだまする暑い中、万事屋の3人はロープでぐるぐる巻きにされ、逆さ釣りされていた。なにあの拷問、怖い。



沖田さん、拷問好きそう。ドSだし。



ほら今だって銀ちゃんの鼻にさっきまで飲んでいた飲み物を注いでる。



「銀ちゃん、私頭爆発しそう。バーンって···、助けて!」


「オーイ、いたいげな少女が頭爆発するってよォ!いいのかてめーらこの漫画終わるぞコラァァ!!」


「次回から真選組血風録帳スタート!みんな絶対みてくれよな」



誰にいってんの、沖田さん···。



「神楽だけでも降ろしてあげましょーよ。あとパチも」

「オイコラァ!そこの貧乳!!ふざけんな!!」

「誰が貧乳じゃ!!私着痩せするタイプなんですぅー!」



くそ、着痩せするタイプじゃねぇよ。なんでピンポイントに貧乳ってわかるんだよ。いや、まって?私平均サイズだわ···



ポン···



「諦めなせェ、それ以上大きくならないぜ」

「ちょ、ウザいんですけど!」



万事屋3人は、無事ではないけど降ろされた。



「あー幽霊恐ろしくてもう何も手につかねーってか」

「かわいそーアルな、トイレ一緒についていってあげようか?」

「武士を愚弄するかァァ!!トイレの前までお願いします、チャイナさん」

「お願いすんのかィィ!」



土方さんの鋭いツッコミが刺さる。



近藤さんはずっと我慢してたらしく、ついつい頼んだという感じみたい。


隊士と一緒に行けや、山崎さんとかいるのに。



土方さんは幽霊のせいで隊士がうなされてるということを銀ちゃんたちに告げる。



「え?何?おたく幽霊なんて信じてるの。痛い痛い痛い痛い痛いよ〜お母さーん、ここに頭けがした人がいるのー!」


「お前いつか殺してやるからな」



銀ちゃん、うざいな。天パだから尚更、私はウザいと感じた。


昨日、土方さんも妙なモンの気配を感じたらしく、それを素直にいうと、銀ちゃんと沖田さんがまるで打ち合わせしたかのように、息ピッタリな土方さん弄りをみせた。



そんな中、新八くんが昔聞いた赤い着物の女の話を始めた。


え、やめろよ、稲山さんの話の続きじゃねぇか。やめろ!メガネ!!



「それで何してんだって聞くとね···」


「ぎゃあああああああ!!」



オチのところで近藤さんの叫び声。


オチ遮られてよかった。


私も一緒に男子トイレに走る。



「神楽どーした!?」


「チャックに皮がはさまったアル」


「あ!!」


「どけ!!」


「なんでそーなるの?」



神楽が近藤さんが入っている個室を叩いていた。そこのドアを蹴破る土方さん。近藤さんは泡を吹いて気絶しているわけでもなく、何故か頭から便器の中に入っていた。



なにそれ、汚ない。





怖い話をすると寄ってくるというよね
(チェックに皮がはさまると痛いんですか?)(···土方さんに聞きなせェ)

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