13.幽霊なんて信じた方が負け
「う···あ···あ、赤い着物の女が···う···、来る。こっちに来るよ」

「近藤さーん、しっかりしてくだせェ」



近藤さんが例の赤い着物の女にやられた。あのときの叫び声は本当にやられたときの声だったらしい。


「ちょ!沖田さん何してんの!近藤さん苦しんでるよ!というかオチる!」



近藤さんの苦しそうな声がさらに増した感じがしたから近藤さんの方を見ると、沖田さんが首を絞めていた。なんかプロレスとかでありそうな感じで···。



そして土方さんと銀ちゃんが、近藤さんが昔フッた女がどうのと言っていたのだが、近藤さんって付き合った人なんているの?あ、土方さんがフッた女の人の霊か。それなら納得だわ。


だって土方さんならたちの悪い女の人相手してそうだもん。



「おいこら潮崎聞こえてんぞ」

「すいませーん」



あ、土方さんこっち睨んどる···ウザい···。



「やっぱり幽霊ですか」

「あ〜?俺ァなァ幽霊なんて非科学的なモンは断固信じねぇ。ムー大陸はあると信じてるがな」




汚い···神楽気づいて!鼻くそ頭につけられてるよ、銀ちゃんの!!



「アホらし、付き合いきれねーや。オイ、てめーら帰るぞ」

「銀さん···なんですかコレ?」


「···」


え、なんで銀ちゃん、二人の手をとって立ち上がってんの?ちょっとその図は可愛いんだけどさ。



「なんだコラ、てめーらが恐いだろーと思って気ィ使ってやってんだろーが」


「銀ちゃんの手ェ汗ばんでて気持ち悪いアル」



なんとなく、二人の手をとった時点でわかってたけどさ、さっきの神楽の言葉で確信した。幽霊が恐いんだなって···。


沖田さんも土方さんもまさかっていう顔してるし。


「あっ、赤い着物の女!!」


「···ひ」



ガシャン



「···何やってんスか銀さん?」


「いや、あのムー大陸の入口が···」


なんだ嘘か。
今、変な声出たよ。沖田さんにバレてないかな?バレてないよね。


ってか、銀ちゃん···オーバーリアクションすぎでしょ。


「旦那アンタもしかして幽霊が···」


「なんだよ」


「土方さんコイツは···アレ?」



沖田さんか土方さんがいた方を向くと、坪のなかに頭を突っ込んでいた。銀ちゃんと同じくオーバーリアクションしすぎだろ。



マヨネーズ王国ってなんだよ。そんなものあるわけねぇだろ。


ほら、沖田さんも神楽も新八くんも呆れた顔してんじゃん。



「なる···」


「なんですか」

「お前まで怖いんですかィ?」



···なんでバレた!?


「バレバレだろこれ···なんで俺の服の袖掴んでるんでィ、肩外れるだろ」


「外れるわけねぇだろ!!」


どんな力で掴んでると思ってんの?というか肩外れるじゃなくて服ちぎれるの間違いだろ。


あ、それも違うか···

「へへ、なるちゃんだせぇなー」


「お前よりかはマシだわ、天パ」


「本当、俺にだけ厳しいよね、なるちゃん」



なんか銀ちゃんには強気でいけれるんだよね。なんでかは知らんけど。



「ん?」



神楽がなにかを見つけたようで、私たちも神楽の目線を辿って土方さんと銀ちゃんの後ろをみる。



「マジでか···」


「···おい、しつけーぞ」


「ぎゃあああああああああ」


「オッ···オイ!!」



いた!

いたよ!!二人の後ろに赤い着物の女!!



「こ、ころ、殺される!!」

「殺されるわけねぇだろィ!」

「なる!走るアル!」

「無理ぃい!!」



本当にヤバいんだけど···もう涙ぐんでるよね、これ···だって前が涙で見えない!こんなので涙溜めてるの沖田さんに見られたくない!だって弄られるの決定でしょ、これ!!



「ちゃんと捕まっとけ!」

「おぎだざぁあん!!」



沖田さんは足がおぼつかない私の手を握ってくれた。そのときの手が案外大きいなって思った。



「はぁはぁ、ありえん···」

「お前、案外泣き虫なんだな」

「うるさいですよ」



私たちは、真選組の物置というか倉庫に逃げこんだ。そのときに、銀ちゃんたちの叫び声が。


「やられた。今度こそやられた」



叫び声が聞こえて、沖田さんがすごい黒いこと言ってるよ。まじで土方さんのこと抹殺したいんだなって、心底思ったよね。




「元凶はお前アルか···おのれ銀ちゃんの敵!!」

「あーもう狭いのにやめろ、つーの!」


沖田さんの冗談にも聞こえない台詞に食いつく神楽。



ただでさえ狭くて埃っぽいのに、この二人が暴れるとほんと埃が舞うんだけど!


というか痛い。殴られたんですけど···最早二人にわざと殴られてる気がする。近くにいるからって巻き込みやめて欲しい。



「ぎゃああああああああ」



新八くんが突然叫び声を上げて地面に顔を何度もつける新八くんら、



「てめーらも謝れバカヤロー!」



新八くんは沖田さんと神楽の頭を力一杯地面に叩きつけた。私も流れで土下座したけどさ。


地味なやつほどキレると怖いって言うのはこう言うことだよね。



ふと頭をあげると誰もいない。


というか誰に謝ってやろうか。



「ねぇ誰に謝ってたの?」

「赤い着物の女です。あと、なるさん。道場に案内してくれませんか?」

「なにかわかったの?新一くん」

「ちょ、そこでボケるのやめてくれません?」



もっと激しいツッコミが来ると思っていたのに残念だよ、新八くん。



ってかさ、沖田さんたち気絶してんだけど、どんだけ強い力だったんだろう、恐ろしい子···





「ここだよ」


新八くんは倒れている隊士たちをみていく。




「や···やっぱり、思った通りだ」

「え?」

「あれは幽霊なんかじゃない」










ーーーーーーーー
ーーー





「あの〜どうもすいませんでしたー」、



真選組隊士を襲い、恐怖に陥れていたのは、蚊の天人だった。



新八くんがあの新一くん並の名推理をみせたのだ。んで、なんか土方さんと銀ちゃんがその天人を倒したらしいよ



「天人だったんだねー。すごいお二人さん方ビビってたよね」

「ばか言ってんじゃねぇよ、俺はビビってない」

「いや、テメェは小便チビるぐらいビビってただろうが」

「小便チビってたのはオメェだろうが!!」



また始まったよ…沖田さんと神楽の二人といい、この二人といい、会ったら喧嘩とか、もういい加減にして欲しいよ。土方さんと銀ちゃんに至ってはただのどんぐりの背比べだからね。




ガララ



「銀ちゃんそろそろ帰…何やってるアルか二人とも」

「「いや、コンタクト落としちゃって」」

「はぁ…」








幽霊なんて信じたほうが負け
(···ビビり)(ちょ、私ビビってなかったじゃないですか!!)

[ prev next ]
Back to top

「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -