「ちょっとここで待っとけ」
連れてこられたのは真選組屯所のある部屋…。
なんかスムーズにここまで来れたけど、大丈夫かな?
ガラ...
土方さん早いな...と襖が開けられた方を見ると土方さんじゃない別の人が立っていた。淡い栗色の髪色で整った綺麗な顔をした人。
「誰でィ」
「...潮崎なる」
「お前なんでここにいるんでさァ」
「えっと...」
なんで土方さんの時みたいにスムーズに言えないんだろう...。
攘夷志士だっけ?それに疑われているんだよね。土方さんも疑ってたはず...
土方さんは態度には全然出てなかったから、あんなに瞳孔開いててもすんなり答えられたんだと思う。
でもこの人の目にじっと見つめられながら聞かれたら何も答えられない。
怖いとかそういうレベルじゃなく、なんというかその赤い綺麗な瞳を見いってしまうレベル...。
「おい総悟、なにしてやがる」
「いやー土方さんが変な格好をした女を連れ込んだっていう噂を聞きましてね、見に来たんでさァ。そしたらちんちくりんじゃねーか」
「ちん...ちく、りん...」
いや、たしかにちんちくりんだけど!!
「屯所の前にいたからな...。事情聴取だ」
「そんなこと言って変なことするつもりだったんじゃねぇすかィ」
「そうなのかトシ!?」
「ちげぇよ!!」
なんか、貶されてる?
というか...、
「ゴリラ···」
「ゴ、ゴリラっていったよね!?」
「言ってないゴリ」
「...語尾にゴリってついてるよ」
···なんかめんどうだったからシカトすることにした。
「近藤さん、話が進まねぇ...。本題に入るぜ」
「あぁ、そうだな」
ゴリラ顔の人は局長さんらしい。ゴリラなのに...。
んで、土方さんが副長さん、2番目に偉いらしい。そして私のことをちんちくりんと言った甘いマスクの人が沖田という人らしく、私とあんまり歳も変わらないらしい。
「なるちゃんって言ったかな?」
「はい」
「本当に帰る場所が此処にはないんだね?」
「ないです」
私はきっぱりそう答えた。
自己紹介が終わってから私は、土方さんに見つかるまでの過程をすべて話した。
信じられないという顔をしていたが、田んぼの泥で汚れた制服が何よりの証拠だ。
近藤さんは驚いていたが、信じてくれた。ゴリラだけど、いい人だ。
土方さんは半ば信じられないという顔をしていたが、トップである近藤さんに渋々、了承したって感じだ。
沖田さんは、どーでも良さそうな雰囲気を醸し出していたが、一瞬目があったときに、この人ヤバいなって思った。
あの目はきっと、近藤さんを裏切ったら殺すという目をしていた。
絶対そうに違いない。
「なるちゃん...君の言ったことを信じるとするよ。今日から君が帰るべき場所に戻るまで俺たちが君たちの家族で、真選組が家だ」
「...はい」
「色々大変だと思うけど、明日から女中として働いてくれるかな?」
「い、いいともー!」
ようこそ真選組へ
(俺のことはお父さんと呼んでくれてもいいからね!)(ゴリ父さん)(それただのゴリラぁぁあ!!)