「いやーこのクレープうまい」
「あんまり食べると太るよ」
「いいのいいの」
「はぁー。じゃあまた明日ね。食べるのに夢中になりすぎて田んぼに落ちないでね!」
「落ちないよ!」
私、潮崎なるは週に1回か2回ほど気まぐれで町にやってくるクレープ屋さんが好きだ。
それは置いといて
幼馴染みと別れたあと私は、幼馴染みの言う通り、クレープを食べるのに夢中で田んぼに落ちた。
大事なことなので2回言うけど田んぼに落ちた。
それも自転車に乗りながらクレープを食べてたから自転車ごと...。
あ、やばい、と思ったときにはもう遅くて…目に泥を入れてたまるかと力一杯目をつぶって開けたら、そこは見慣れた田んぼ道じゃなかった。
「まって、ここどこ...?」
町並みや建物の感じをみると田舎でよく見る家と同じだわーって思うところもあったけど、何かが違った。
「あれ...なに?」
そう、私が住んでるところには到底ありえないだろう高い高いビルと空に浮かぶ浮遊物...。もしここが東京だとしよう...。テレビで見る東京にもあんな浮遊物、いや、宇宙船みたいなのは写ってなかった。
でもどこかでみたことある風景な気がするんだ。
よく思い出せないけど...
「おいこら」
「へい」
「へい、じゃねぇェェよ!」
呼ばれたから振り向いたらすごい勢いでなんか怒られた。カルシウム足りてないんじゃね?とか失礼なことは初対面なので言わないことにしよう。
というか、この人どこかでみたことあるな...誰だっけ?
「どなたですかー?」
「いやオメェがな!!」
「うるさいですよ、そんなに大声で言わなくても聞こえてますよ」
「で、誰だ」
「潮崎なるです」
「なんでここにいる」
「知らない...というかどちらさんですか?」
「知らないのか?」
なにこの人...有名人?
いや、ドラマとかテレビでは見たことない顔だしな...うーん、誰?
というか誰でも自分のこと知ってると思ってんのかな?とんだ自意識過剰の人だな。
イタイ...イタイよ、この人!!!
「聞こえてんだよ全部!!」
「じゃあ名前教えてください!」
「土方十四郎だ」
「...は?」
「は?じゃねぇェェよ!土方十四郎だっていってんだよ!!」
土方十四郎...ってどこぞのゴリラが描いている漫画の人気キャラだよね?
「コスプレ?」
「誰がコスプレだ」
「あの...私多分…家ないんです...。親もいません。真選組においてください」
「...は?」
「は?じゃねぇよ。置いてください...お願いします」
真選組だったよね、この人。
え?万事屋っていうお店のほうだっけ?
あれ?どっち。
まあ、なんとかなるだろう。
適当にこんなこと言ってれば大丈夫っていう自信がすごいわ。
「それが人にモノを頼む態度かよ...はぁ...仕方ねぇ、...連いてこい!」
「あいあいさー!」
「なんかムカツクんですけどォォオオ!!」
土方さんうるさいと思いながら私は土方さんについていくことにしたのであった。
ここが異世界
(すげー!!)(お前ほんとなんなのォオオオオ)