2.柱との出会いと呼吸法

痛い...痛い...


私、死んじゃったの?





「.....!」




ここはどこ?


私が襲われたのは、こんな田んぼだらけの場所じゃなかった。人通りはたしかに少なかったけど、間違いなく街だった。



「あれ?私...刺された傷がない...。どういうこと?あとなんで私、中学生の時の制服着てんの?意味わかんない...」




1人でボソボソ呟いていたら、背後に人の気配がした。後ろを振り返ったら、人がいた。



いや、人じゃない...人が額から角なんて生えるわけなんてない...!






”逃げろ!”




本能がそう叫んでいる。でも足が竦んで動けない...。




「人間の娘だ!それも14歳ぐらいだなぁ...美味しくなり始めた時だぁ...!」
「.....っ!」



鬼みたいな人が私に襲いかかってきたのを間一髪で避けれた。



というか、私14?たしかに中学生のときの制服は着てるけど!



「私14歳なんですか!?」
「14歳の女の匂いがする...あとこの匂い、稀血だぁあ!」



え?変態...?涎垂らしてるし...無理みが強い。あの鬼みたいな人が言うことが本当なら私は14歳なんだろ。16歳になったばかりの私とは少し身長が低い気がする。

というか、稀血ってなに!?




「.....しまった...!」




全力で逃げていた私は石に躓き、盛大にコケてしまった。鬼のような人がニヤリと笑い私に飛びかかってきた。16歳の私も殺され、14歳の私も殺されるのか...そう悟ったとき





「恋の呼吸 壱の型 初恋のわななき!」



可愛らしい声と共に畝りが強いのだろう、刀?が鬼のような人の首をはねた。




「女の子に酷いことするなんて許せないわ」
「.....」




桜餅みたい...
正直な感想だった。桜餅のような髪色の女の人。


「大丈夫?」
「あ...ありがとうございます!大丈夫です!」
「大丈夫ならいいのよ!」



さっきの桜餅のような髪色をしたスタイルのいい女の人が私の目の前にたっていた。きっとこの人はいい人。だって、私はこの人を知っている。友人オススメの漫画、鬼滅の刃に出てくる人。主人公の味方。



助けを求めるならこの人!



「あの...少しの間でいいんです。私を助けてください!」
「...いいわよ!」
「え!?あ、あ、ありがとうございます!」
「でも条件があるの」
「条件?」



そうだよね、さすがにそうですか、はい、いいですよなんて理由もなくなにも受け入れてくれるわけないよね。


ん?でも待って...


なんで私の目の前に漫画の中のキャラとお話してんの??え??これって友人が1度は体験してみたいと言っていた異世界トリップってやつ??え??嘘でしょ、でもさっき襲われたときにコケた傷が痛いから現実...


殺された反動で異世界トリップってやつ?
こんなのある??



「大丈夫?」
「はい!すみません!」
「あのね...条件というのはね、呼吸使えるなら助けてあげるわ」
「呼吸...?」



これが現実なら私はこの世界にきっと順応しなければならない。だって私は元の世界ではきっと死んでるんだもの。


にしても呼吸ってなに?今してるのが呼吸じゃないの??




「呼吸っていうのはね、肺を大きくして血中に体力の空気を取り入れたらね、すっごい!力が手に入るのよ!」
「なるほど...それができれば助けて頂けますか?」
「うん、もちろんよ!」




肺を大きくして、血中に空気を取り入れる...



集中、集中!





「.....っ!」



一瞬だけ、なにか弾けた気がするんだけど、今のでいいのかな...。恐る恐る私を助けてくれた人をみると、すごいすごいと言って手を叩いてくれてる。



え?できたの?



「すごい!私、キュン!ってしちゃった!」
「キュン...?」
「うん!私ね恋柱の甘露寺蜜璃です!」
「鈴城夏葉です」
「夏葉ちゃん、よろしくね!」












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