治2 | ナノ

13.青春は甘酸っぱい


治は私を軽々と抱え、ゴールテープを切ったが、まぁ、360度視線が痛い。


対して可愛くない私がすみません!って感じなんだけど、まじで視線が痛い。


どこかで侑が笑ってる声が聞こえる。授業中覚えてろよ。


『さぁ!1位でやってきた宮兄弟の片割れ治くんです!あなたのお題を教えてください!』



「その前に連れてきたこいつに見せてええですか?」
『お!いいですよー』


え?
なに??


「これやで」


治が握り締めていたお題が書かれていた紙を広げて私へ見せる。


そこに書かれていたのは


”初恋の人”


というお題だった。



確かに治の初恋は私だと言っていたが、え、私がいなかったらどうしていたのだろうか。ビリ決定じゃないか。


なんてお題を出すんだ、実行委員。


「これやでー」


治が体育委員に紙を渡す。
体育委員はその紙に書かれていたお題をマイク越しにこれでもかというぐらい叫んでいた。



初恋の人


そのお題が読まれたとき、運動場一体に驚愕の悲鳴が鳴り物のように鳴り響いて正直耳が痛い。


『治くんの初恋の人の名前は!?』


え?名前まで言うの?
私まじで治のファンに殺されない?
大丈夫??


「宮崎穂花ちゃんやでー」
『出会いは、やっぱ高校で?』
「ちゃうで。中学の大会で見かけて一目惚れしたん」



治のその言葉に今度は女子生徒の黄色い悲鳴が轟く。さっきからこんなんばっか!


『彼女さんの初恋は!?ズバリ!』
「え、えっと...」


いやいや、私も答えるの?
待ってそんなの聞いてないし、まだ治に言ってないのに。


「すんません。それは俺と穂花だけの秘密なんで」


といい治は私の手を引いてゆっくり歩いて救護班のところに私を連れていってくれた。


救護班のテントでは保健室の先生に青春ねーとか色々根掘り葉掘り聞かれて恥ずかしくなった。


その後も治は侑と競い合ったりして体育祭を満喫していた。


私は競技に出ることはなかったけど、見るだけでもすごい楽しめたし、これも全て治のおかげなのかな?


体育祭は無事に終わり、うちのクラスの組は2位で、侑が1位以外全て負け犬やぁあ!!って叫んでいて、正直うるさかったけど、まぁ侑らしいなって思った。そのあと、何故か私に対して「穂花が治応援するからや!」と八つ当たりしてきたので「侑が美人で有名な女の子の胸ばっかみてるからじゃない?」と在り来りなことを言ったら、「なんで知ってるん!?」って焦っていてたので、図星なのかと、笑ってしまった。



「あ、サムが今日お前のこと送って帰るから教室で待っとってって」
「はーい」



体育祭のあとだもんね、部活はないか。あとクラスの打ち上げ的なのもないのかな?うちのクラスはあるけど、私は足がこんなんだから、パスした。



体育祭のあとのホームルームが終わり私は、教室で治を待つ。


「穂花、すまん遅れた。帰ろっか」
「うん」


私は松葉杖を上手く使い治と一緒に家路を歩くのであった。








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