そちら、予約済みにつき。





『ダァーリーンッ!やるで!ウチと!』
『やるって、何を…?』
『決まっとるやんかぁー!"バタフライ ドリーム"二人の愛の…』
『はーいみんなーきゅーけーきゅーけーきゅーけー休憩だよカズヤとリカちゃんもー
『チッ』


私の悩みは尽きません。









イプシロンとの試合を控え、なにわランド地下で練習をする私たち一行は。
選手は勿論、マネージャーである私たちもパタパタと働いていた。

『オニギリ作ってきたから食べて』
『おー!腹減ってたんだよー!!』


オヤツ時、さすがにお腹が空いたのか皆がワラワラと集まってくる。
皆が美味しそうに食べてくれるから、作るコッチもやりがいがあるってもんだ。

けど、


『なんや、この歪なカタチしたオニギリは』
『う、』

リカちゃんの声が聞こえた。
ただ一つ、変なカタチのオニギリ。
唯一、私が握った、やつ。

『わ、悪かったわね!』
『アンタ、オニギリも握れへんの?』
『うるさいな!』

そう。
同じくらい下手だった夏未ちゃんはどんどん成長してるって言うのに、私は未だに全然ダメで。

『し、仕方ないよ。名前は最近までアメリカに居て、お米なんて食べたことも無かったんだから』
『アメリカおったん!?』
『そーそー。昔、俺らが留学してた頃英語教えてくれたんだよな』
『日本語を教える代わりにね』


懐かしいなぁとカズヤとアスカが思い出に浸る中、リカちゃんは。

『だ、ダーリン、アメリカ留学しとったん!?』

と、そちらの方に食いついた。


『流石やわ〜!素敵!!』
『あははは…はぁ、』

最近ひしひしと感じる想い。
この子、本当にカズヤの事好きなんだな…って。
リカちゃんは料理も上手いし、明るいし。
アメリカに住んでいた私よりもアプローチが凄い。
(日本人って皆アキみたいな感じで恥ずかしがり屋が多いから)

もしかしたら、私より…、


『名前ちゃん?』
『あ、え?』
『ぼーっとしてたわよ?』

アキに肩を叩かれて我に返る。
心配そうに見つめるアキ。
きっと、彼女には。
私が考えていることなんてバレているんだろうけど。

『何でもない。ごめん、』
『そう…?』

今はまだ、黙っておく。
イプシロン戦が控えてるんだもの…余計な問題は起こしたくないし。


『大丈夫ですよ!名前さん!特訓すればオニギリなんて簡単に握れるようになります!!』
『ハルナちゃん…!!』
『いや〜これは先が長いでー』
『…うるさい!』


ちょっと崩れ気味のオニギリを見てリカちゃんが言った。
一つ残ったオニギリは、皆が手を付けないでコロリと残っている。
まぁ確かに歪だけど、理由はそれじゃない。


『いいんだよ、どんなカタチをしていても』
『へ?』
『名前が作った事に代わりは無いからね』
『カズヤ…』


最後の一個は、食べる前から予約が入ってる。










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『前さ、土門が間違って食べて大変だったよな』
『あの時はマジで死ぬかと思ったいろんな意味で』
『『色んな意味って何かな土門君』』
『すみません…』








砂糖と塩を間違えたの。
でもそんなの、フロリダの広大さに比べたらどうって事無いわよね?

と言う夢主ちゃんと、

土門ー?名前が作ったのは暗黙の了解で俺のだろ?ん?

と言う一ノ瀬さんとの板挟みでいっつも被害に遭うのは土門なんだぜ。



◆夢主ちゃん(´Д`)))彡
お菓子作りが唯一の特技!
だけど彼女にケーキを作らせたら青かったり赤かったりするんだぞ!
一ノ瀬達は(今は)平気で食べますが、流石にみんなは引いてましたまる



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