love*love*love*








※倉間+10(24歳)
 プロになって海外で活躍中。
 久々に日本に戻ってきた…
 って設定です。苦手な方はUターン推奨









久々に再会した彼は、見違える程に大人の男の人になっていた。



『大きくなったね…』


たとえば、そう。10年前…まだ中学生だった倉間君は同学年の中でも一番小さい男の子だった。
私が抱きしめたら胸に埋まるくらいのそんな位置。
もちろん、実際抱きしめたりはしたこと無いから分からないけれど…。
いつも彼からの視線は下から、だった。


『久々に会った彼氏に言う言葉か?』
『だって、昨日中学の頃のアルバム見つけちゃってねー』
『中学って、お前な…子供扱いすんなし…』
『してないよ、』
『お前は小さくなったな』
『やだ、典人君が大きくなったのよ』

見上げるとちょっと不服そうに私を見下ろす彼の瞳と視線が合った。
昔とは逆ね、と笑うとまだちょっと不機嫌になる。

『男は25歳まで伸びるんだってよ』
『それ以上大きくなられたら困るなぁ』
『なんで、』
『私からキスが出来ないわ』

手を伸ばす。
頬へと触れた指先は、彼の温かさとじわりと溶け合うみたいで。

『…これからは俺がしてやるよ…』

私の手と自身のを重ねてぐっと下がってくる彼の顔は、さっきの不機嫌さは無くなって代わりに照れくさそうな笑顔が浮かんでいた。


『ただいま、』
『ん…、』

おかえりなさい。
唇が離れてそう言葉にすれば、あの頃の、子供みたいに嬉しそうに笑う典人君の顔が見える。
大人になっても変わらないそーゆーところ、凄く好き。


『待たせてごめん』
『ううん、』
『寂しい思いさせてごめん』
『ううん、』
『俺も寂しかった』
『ほんと?』
『ほんと…』


手をそっと包まれて私も握り返す。
もういっかい、キスしたいな…って思ったのは私だけじゃ無いみたいて、目の前に典人君の顔があって唇に柔らかいものが触れた。
此処が空港と言うのも忘れて、人の波の中抱きしめ合う。

昔とは違う。私が彼の腕の中。


『…帰ろうか』
『そうだね』

暫くして人の波もまばらになってきたから注目をあびる前にと身体を離す。
名残惜しいけれど、数日はこっちに居られるみたいだから話はその間に沢山しよう。
典人君が俺も寂しかったよって言ってくれて、私と同じ気持ちだった…それだけでも安心するには十分すぎる。


『名前…』
『ん?』
『あー…、いや、良い』
『?』

何か言いたげな典人君を見上げるとちょっと言いにくそうにして顔を逸らされた。
私が変なの、と歩き出すとガラガラとスーツケースの車輪が音を立てながら付いてくる。

会えた嬉しさを噛み締めたいのに、馬鹿な私はまた離れなければならない…そんな悲しみまで思い出して何か顔を見せたくない。だって、今絶対泣きそうだもん、私。
折角無事に日本へと帰ってきたのに…私が不安にさせちゃダメでしょ。

ねぇ、もう遅いけどご飯食べる?
涙が出ないよう、上を向いて考えるフリをしながら顔も見ずに問いかけた。
何気ない会話をしようと後ろ手に手を組んで、ふと、違和感に足が止まる。
私が止まるとスーツケースの車輪も回るのを止めたみたいで音がピタリと止まって。

『…の、りひと、くん…?』

どくん、どくんと心臓が逸る。
彼はさっきより落ち着いた声で、私の背中に話しかけた。

『…なぁ、次アッチに戻る話で悪いんだけどさ』
『…』

右手で左手を掴む。
後ろ手にだけど、ねぇこれって、さ?

想像は、彼の言葉で確信へと変わった。



『名前も一緒に…来、て…くれませんか…、』
『…っ!』


ああ、ばか。
倉間君の、ばか。
心臓が鷲掴みされたみたいにぎゅうっとなって、涙が溢れて遠慮無く零れて行く。
折角我慢したのに、ばか。


違和感がある左手の薬指を触る。
間違いないよね、左手、だよね?


『名前…?』
『…』

情けない事に言葉が出なかった。
何て事。嬉しいのに涙が溢れて声が出ないの。代わりに出せたのは嗚咽だけ。


『名前』

彼がもう一度私を呼んだ。
抱きしめられたら顔が彼の胸に埋まって洋服が転々と濡れる。
頭を撫でる手は大きくて、私を呼ぶ声は低くて。
ああ、昨日見た写真の"倉間君"じゃないんだ。
なんて。


『俺と結婚してください』



典人君に抱きしめられながら、私は何度も頷いた。





end




イタリア辺りのプロになってたらいいなと。
ほら雷門の11番だし(適当)

でも自分だったら…付いてはいかないなイタリアまではなぁと思いながら書きました←

でもさり気なく指輪はめられてたら嬉しいなと。自分の理想です笑



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