episode:02 『名前ー俺スゲー心配』 『大丈夫だってば!』 心配そうに眉根を寄せるカノン。 私は笑って、たった今新調したばかりの制服を見せた。 『似合う?』 『う、うん…』 スゲー可愛いよ。 照れながら言うカノンは、私のシュシュを見付けて。 『それ、』 『うん、カノンが誕生日にくれたやつ』 『してくれてるんだ』 『もちろん!』 カノンは一番大切な友達だもの! ね、と笑うとカノンは少し寂しそうにして。 『名前』 『うん?』 『俺も頑張って原因調べるから』 『う、ん…』 『だから、だから絶対』 消えちゃ駄目だぞ。 ニカッと、彼は太陽みたいな顔で笑った。 瞬間、私はとっても泣きそうになったけれど。 『ありがとう、カノン』 『なんか分かったら小さなことでも報告くれ』 『了解!』 こつん、とモニター越しに拳を合わせて通信を切った。 『大丈夫、きっと…大丈夫』 曾祖父譲りの銀髪。 それを纏めるシュシュを見つめる。 大丈夫。 きっと上手く行く。 気を引き締めて。 私は職員室へと向かった。 ■ 『あぁ、良かった!探していたんですよ』 担任の先生に言われ、頭を下げた。 どうやら待っていてくれたらしい。 先の椅子にはもう一人、男の子が座っていて。 『…?』 私を見るなり、彼はすごく驚いた顔をした。 『あの、』 『すまない…何でもない』 なかなかのイケメンだが、彼はムスッとした顔に戻して目をそらした。 なんか、嫌なやつ。 『さぁ、二人とも行きましょう』 『はい』 『あ、はい…』 先生に呼ばれ立ち上がると、彼は先生の後ろに立って。 付いた先に一緒に入る。 あれ?なんで一緒の教室だ? と、すごく嫌な予感がした。 教室に入り、自己紹介をする。 彼はとても綺麗な字で"豪炎寺修也"と名前を書いた。 嘘でしょう。 ってことは、何だ? この、無愛想なのが…、 『曾祖父、だと…!?』 『は?』 ボソリと呟いた声は隣に居た彼には聞き取れたのか、すごく怪訝そうに私を見た。 『あ…え、と…』 『どうしました?』 『あ、いいえ!』 戸惑って目を泳がせていると、先生に言われ慌てて自分も黒板に向かう。 彼はフィ、とまた冷たく顔を逸らした。 隣に書かれた字を見つめる。 これの横に書くのか、私の名前を。 はぁ、とため息を吐いて。 私が此処にいる理由を思い出す。 こんな所で、立ち止まっては居られない! カツカツと音を立て、同じ字が隣に並ぶ。 『豪炎寺名前です!よろしくお願いします!』 ざわめく教室に一言『キョーダイではありませんので!』と付け加えると、隣にいた彼は私を睨んだ。 next (前略、カノンへ) (ひぃおじいちゃんはかなりのイケメンでした) (名前) prev / next
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