「おかえりなさいハザマさん!」
帰宅するとぱたぱたと足音がして聞き慣れた声が私を迎えた。
正直ここが本当に自分の家かは定かではないがこの言葉を聞く限りここは私の家なのだろう。
それにしても…。
「どうしたのハザマさん?」
「いえなんでもありませんよナマエ少…ナマエさん」
「へんなハザマさん」
危うく少尉と呼ぶところでした。
様子の可笑しい私に彼女は訝しげな視線を私に送ってきました。
元の世界での部下であるナマエ少尉とはこちらの世界でも関係があるらしい。
無かったら私の家に居ないだろう。
ではこちらの世界での彼女との関係は一体なんだというのだろう?
「さん付けだなんて何かあったのですか?」
「あはは…嫌だなぁ冗談ですよジョーダン」
こちらの世界での彼女を私は呼び捨てで呼んでいるらしい。
そして部屋のなかにあるものが一人暮らしの家のものではないあたり同棲していると考えていいだろう。
可能性として挙げられるのは恋人ということだろうか?
この世界の私の肉体年齢はおおよそ20代であろうと思われる。
対してナマエは外見からして10代後半といったところだろうか?年齢差的にはあり得なくもないかもしれないですが……そうであったとしたならば、こちらの世界の私は少々趣味が悪いようです。
「ハザマさんご飯できてますよ。今日はハザマさんの好きな茹で玉子のサラダです」
「はい、いただきますね」
なぜこちらの私は彼女を自分の側に置いたのでしょう。
こんななんの魅力も思い付かない平凡な女を。
私にはそれがとても理解出来なかった。
20140530
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