レリウス大佐の発明した何やら確率事象の世界とは少し違うパラレルワールドへと行ける装置でやってきたこの世界で私はクローバー家の飯使いらしい。冗談じゃない。
なんで私が…そう思いながらもまるでそこの空間が何も間違いではないように振る舞ってしまうことに恐怖した。
大佐曰くこの世界が私たちを取り込み始めているらしい。
このまま、ここにいればこの世界の住民としてなんの疑問もわくことなく生きていくことになるのだろう。
手遅れになる前に帰りましょうと慌てて伝えてみるも装置は故障で一日はこの世界にいなければならないらしい。
なんつー不良品つくってやがんだこのおっさん。
まぁ、だけどたった一日くらいならなんとかなるでしょう。
「では、私は帰らせていただきますね」
飯使いとしての仕事を終え、帰宅路を歩く。
この世界の自分の家など前々知らないが不思議と足は歩みを進めていた。
20140529
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