悪夢 02
再び唇が下りてきた。今度はヴァルトの舌が俺の口内に侵入してきて、こちらもそれに必死で応える。
幾度かの口付けを繰り返した後、彼の唇が首筋を這っていく。冷たいそれが肌をなぞるだけで、俺の身体は熱を持ちそうになる。
胸元をはだけられ、彼の左手が服の中へと入り込んできた。煽るように横腹を指先で撫でられると、もどかしい刺激が俺を襲う。
それだけじゃ足りない。もっと。
その声が聞こえたかのように、さらけ出された胸の頂に手が微かに触れた。
「ひぁっ……!」
ただかすっただけなのに、俺の肩は大袈裟な程に跳ねる。
ヴァルトはからかっているつもりなのだろうか。くるくると乳輪をなぞっては、乳首に微妙に触れるだけの刺激を何度か繰り返す。焦らされているようなそれに、理性が侵食される。
「あ……っ、や、ちゃんと触って下さい……!」
その腕を両手で掴んでねだると彼は微かに笑んだ。そして不意に中心のそこを押し潰してきた。ぐりぐりと指の腹で乳首を捏ね回し、時には関節を使って転がす。
「ふあっ、ん、ぁっ……あ、それっ、それいいですっ……」
ヴァルトとはもう何度も身体を重ねてきた。それでもこうして繋がれることが嬉しくて、どんな刺激も即座に快感に変換されるからたまらない。
唇が胸元へと下りてきた。指先の動きは止めないままで反対側の乳首を強く吸い上げられ、舌全体で舐め上げられ、舌先でつつかれる。
「はっ、んッ……!や、あぁ……!んっ、あっ」
俺の頭はもう既に真っ白で、開いた唇の隙間からただ喘ぎを漏らすしかできない。なのに身体はひとりでに更なる快感を求め始めて、ヴァルトの指と唇に押し付けるように胸が反らされた。いつの間にかゆるゆると腰が揺れる。
ヴァルトがそんな俺の様子に気付かないはずがない。唇で乳首を挟み込んだかと思うと、そのまま舌先で激しく責め立ててきた。
「んんッ、ああっ……く、それ、だめっ、やあぁっ……!」
上下左右とめちゃくちゃに胸をなぶられても彼の口内では逃げ場はなく、受ける刺激の全てが快感に変わる。絶え間なく送り込まれる快感に、今にも頭の中が弾けそうだ。
「……勃っているな」
くすりと笑みを零しながら彼が服の上から俺の自身へと左手を当てた。胸への刺激だけでも、その部分はさっきから痛いほどの反応を示していて。
散々苛めた乳首から口を離したヴァルトが俺の服の前を寛げると、既に勃ちきったそれが勢いよく顔を出した。
赤く充血した自身はこの先の快楽を淫らに待ち望んでいるようにも見えて、思わず目を逸らす。
しかし、対するヴァルトはと言えば。目を離さずにしばしそれを見つめて、可愛いと一言呟いた。かと思うと、突然俺の足を割り開いて頭を下げ、俺自身を口へと含んだ。
生暖かいその口内の感触につい腰を引いてしまうが、彼は離してなどくれない。唇で全体を扱きあげた後は、先端をしゃぶるようにぴちゃぴちゃと舌を這わされる。そして強く吸い上げながら頭を大きく上下に動かし始めた。
「は、あっ……!あっあっ、や、激しっ……!く、んんっ!ぁんっ、ああぁっ……!」
ヴァルトの口の中で大きくなった俺自身が熱を持って震える。緩やかに蓄積され続けてきた快感が、出口を求めて暴れ始めた。
それでも彼の頭の動きは止まらず、時折舌でぐりぐりと先端を刺激されると腰が幾度か跳ねる。
「んっ、くぅっ、あ、ヴァル、ト……!あぁぁっ、やっ、来ちゃ、います!はんっあぁっ来る、ぁん、ああ!」
少しでもこの快感を逃す先が欲しくて、両手で手元のシーツを握り締めた。しかし、どんなに力を込めようとも止められないその感覚は下腹部から駆け上がってきて。
早く出せと言わんばかりに、ヴァルトの責めは更に激しくなる。ずるずると卑猥な水音を立てながら弱い先端を吸い上げてぐりぐりと舐め、両手で根本から中央までを勢いよく扱き上げられてしまえば、溜まりきっていた快感は弾け飛んだ。
「はあ、んんんっ!ぁんっ、あっあっ、くぅんっ!あっ、だめっイっちゃうっ、はぁんっ、ああぁっ、や、ああああぁぁっ!」
俺自身がヴァルトの口内でドクリと震え、精を吐き出した。彼は特に驚いた様子もなく、くわえたまま平然と俺の出したものを飲み下した。
そして飲み残しがないか確認するかのように、自身に満遍なく舌を這わせていく。達したばかりでも未だ萎えないそれには刺激が強すぎて、思わず腰が浮いてしまう。
「ふっ、ん……はぁっ……ぁっ」
だがそれが明確な快感へと繋がる前に、ヴァルトの唇は離された。顔を上げた彼は、残念そうな声をあげてしまった俺を見て楽しげに口角を緩めた。
← | →