小説 | ナノ
悪夢 03



「……舐めてみろ」

と、俺の顔の前にヴァルトの人差し指が差し出された。他の指は拳を作るかのように曲げられていて、出された指だけが舐めやすい形だ。

その拳を両手で掴んで俺の口許へと引き寄せる。リップ音を立てて指先にキスをしてからそれをくわえた。
まるでヴァルト自身を愛撫するかのように、先端をちろちろと舌先で舐める。そしてたっぷりと唾液を絡めながら第二関節までを舐め上げて、また指先へと戻った。

たまにヴァルトが熱い吐息を漏らしてくれるのが嬉しくて、一旦口を離してから訊いてみる。

「気持ち良いですか?」

「ああ。何よりも、お前のその蕩けた顔がたまらないな」

そう言うヴァルトこそ、やや眉を寄せた表情から色気が溢れ出ていて。そんな表情を見てしまうと、締め付けられるかのように俺の下腹部がずくりと鈍く疼く。

欲情。
それを全て彼にぶつける為に再び眼前の物へと意識を集中させる。今度は全体をくわえ込んだ。指の間も丹念に愛撫しながら、根本から先端までを舌でなぞっていく。
何度も舌を往復させて彼の指が完全に濡れきった頃、不意にそれは引き抜かれた。俺の口と相手の指を繋ぐ銀糸でさえも妙に厭らしく見えて、再び甘い疼きが広がる。

そして、少々強引な手付きで四つん這いになるよう促される。大人しくそれに従うと、直ぐに俺の尻たぶが割り開かれた。
これからヴァルトを受け入れるだろうその場所に視線が注がれているのが分かって、気恥ずかしさと共に僅かな期待を抱いてしまう。ここにヴァルトの逞しい物が入って、いつものように激しく突き上げられたら……

「何を考えていた?もう反応しているようだが」

彼からの視線と想像だけで、その部分は誘うようにヒクヒクとうごめいてしまっている。改めて言葉にされると更なる羞恥心が襲うが、やはりそれでさえも快感に変換されて。
軽く首を振ってみても、ヴァルトが俺の強がりなど見抜けないはずがないのだ。ふっ、と。軽く息を吹き込まれるとつい背中が反れた。

「っ、あ……!」

「これでもまだ反応していないと?」

わざと息を吹き掛けるように話したかと思うと、後孔にぷつりと指が埋め込まれる。先程俺が濡らしたその指は何の抵抗もなく潜り込んだ。
そうして長い指が奥へと侵入したり、浅いところを探ったりして動く。緩やかなその愛撫がもどかしい。それを知ってか知らずか微弱な刺激ばかり送るヴァルトに、思わず口を開いた。

「ふっ、ん……足りなっ……。もっと、っ、もっと下さい……!」

「……昔よりも随分と素直になったものだな」

そう笑う彼の吐息が触れると、その部分はますます熱を増していく。昔は、こうして抱かれることが怖かった。でも少しずつ、そうした感情は消えていって。数え切れない程に繋がった今となっては、彼が欲しくてたまらない。

二本、三本と増やされても俺のそこは指を容易く呑み込んでいく。それどころか中が歓喜に震えているようなのは思い違いだろうか。
ヴァルトは俺の弱いところも全て知り尽くしている。そこを微かに外しながら奥で指を滑らせ、三本をバラバラに動かす。

「く、ぅうん……!……はっ、あ!や、そこ!そこ、外すの……あっ、や、嫌です……!」

首を振って訴えたが聞き入れてはくれなかった。相変わらず三本の指は良いポイントを微妙に外したまま動き、そこに舌が追加される。
後孔の皺を伸ばすかのように入り口をねっとりと舐めると、指に平行して出し入れの動きが繰り返された。指と舌と、それぞれ感触の違うバラバラの刺激にジリジリと脳が焼ける。

「んあ、あぁ!んっ、あっ、や、もう、無理で、す……!あっんん、ふ、ヴァルトのっ、それが、欲しいっ……!」

真っ白な頭の中でねだると、ふとそこに大きな質量を持った熱い物が押し付けられた。
俺がずっと待ち望んでいた物。ヴァルトと俺を一つにさせてくれる物。
だが彼はそれを押し付けるだけで入れようとはしない。

「クラウス、もっと言えるだろう……?」

その囁き声は甘く低く、歌うようで。俺の背筋を這い上がって、脳を痺れさせる。何と言うべきかと歯で下唇を噛んだ。
しかし返事を促さんばかりにほんの浅くを擦られてしまうと、俺の中は待ちきれないとでも言うようにきゅうと切なく収縮して。思考など全てが吹っ飛んでしまった。一度唇を開いてしまえばもう止まらない。

「っ、は……俺の孔にっ、ん、ヴァルトのペニスを入れてっ……ナカを激しく沢山突いて下さい!はぁっ、もう、ヴァルトが欲しいっ……!」

当てられたヴァルト自身が脈を打ったような気がした。彼が大きく息を吐いたかと思うと、ぐ、と腰を両手で捕まれる。

「……まあ、良いだろう。行くぞ」

やっと、彼と繋がれる。それだけで身体は自ずと期待に染まってしまい、受ける刺激を余りなく快楽に変えようと準備を始める。
そうして一気に、圧倒的な質量の物が打ち込まれた。

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