嶋野のお嬢 | ナノ

  少女→オトナ




今まで生きてきた15年間で一番衝撃が走ったことが起きた。おかんから朝食食べている時に告げられた。おとんは黙ったまま。様子がおかしいなぁ、おもてたら、そう言うことかいな。


「真島、結婚するんやて」

「え…?」

「式は挙げんらしいけど、入籍したらしい。レン、ショックなんわかるけどな、立ち直るんやで」

「嘘やろ…?」

「ほんまや。昨日わしが真島から聞いた。お前はええ女やから、ええ男なんかようさんおる」


思考が停止した。何も言えへん。真島さんが結婚やて。めでたいことやん。笑っておめでとうって言ってあげんと。なんで真島さん、私のこと待ってくれへんのよ。ちゃうちゃう、私のことなんか眼中ないもん。ただの親父の娘で大事にしてくれてただけやもん。

頭が混乱して、涙が頬を伝った。いや、泣くんダサいわ。すぐ拭いて、笑顔にする。おとんとおかんに心配かけたないし。


「ほんまか!めっちゃ寂しなるなぁ。でもめでたいことやん。また会うたらおめでとう言わなあかんな」

「無理しなや。わかってんねん、あんた強がりなことくらい」

「強がってへん。でも今日は学校休んでええ?ちょっと心の整理したいねん」

「ええで、わしが連絡しといたるわ」


おとんとおかんはさすがやわ。何も突っ込んでこん。そのまま着替えて街に出かけた。朝の神室町は割と静か。でもホストとかキャバクラの子とか歩いてる。お仕事お疲れさまやなぁ。何にも考えんと街をぶらぶらしてたら、絡まれた。ヤンキーというものやろか。男3人で朝から暇やなぁ。会話聞いてたら可愛いから、声かけただの、遊びに行こうだの、ナンパらしい。


「なぁ、私暇やないねん。ほっといてくれるか」

「関西弁じゃん!可愛い〜」

「面倒くさいからどけや。しょーもない男と絡みたないねん」

「ああ!?いい気になりやがって!」


男の1人が拳で殴りかかってきよった。それを避けて、鳩尾を殴る。私なぁ、女やけど、おとんヤクザやし、何があるかわからんから鍛えられてんねん。真島さんにもようコーチしてもろたなぁ。あ、悲しなってきた。するとその仲間たちが集まってくる。戦わなあかんやつ?…やんなぁ。


「ちょろすぎてビビるわ。絡む相手間違えたな」


倒れている5人くらいを見下して、そう放った。通勤のサラリーマンたちやOL、色んな人達が何事かと集まってきてた。あかん、警察呼ばれて学校に連絡されたらややこしい。逃げようおもたら、後ろから声かけられた。


「レン、何してんだ朝から」

「桐生さん…」


手を引っ張られ、その場から2人で逃げた。公園の方へ走って行き、ベンチに座る。桐生さんは堂島組の人で、大吾くんに紹介してもろて、3人でよく出かけた。桐生さんは普通のヤクザとは違う気がして、私も懐いた。私のおとんとはあまり仲がよろしないけど。おとんに桐生さんの名前を出したら、あからさまに嫌な顔したから。

よく相談乗ってもらえるいいお兄さん的存在や。


「さっきのは絡まれてたんだろう。大丈夫か?」

「桐生さん、私…」


桐生さんの顔を見ると涙が止まらなくなってしまった。いきなり泣き始める私に桐生さんは慌てて頭を撫でる。


「どこか怪我でもしたのか!クソ、あいつら…!」

「ちゃうねん、桐生さん。私なぁ、失恋してん」

「失恋だと…」


不器用に頭を撫でてくれる桐生さんに少し笑えた。でも涙は止まってくれない。明日目めっちゃ腫れるやろなぁ。


「真島の兄さんか。レンは兄さんのこと本当に好きだったもんな」

「結婚してん。真島さんな?なんで私15なんやろ。もっと大人やったら、真島さんと対等になれたんかな。」

「お前は充分大人びてるぜ。15に見えないからな。だが、そんな背伸びをしなくてもいいんじゃないか?」

「…じゃあ、女として見れるん?」


隣に座っている桐生さんにつめ寄った。顔も10センチしか離れてへん、動いたらキスしてしまいそうな距離で。桐生さんは私の肩を掴み押した。やっぱ大人からすればあかんのやろうか。


「お嬢、そう言って男を誘惑しちゃいけません。俺は乗りませんが、馬鹿な男はすぐ引っかかります」

「…こういう時だけお嬢って距離置くんやめて。やっぱ大人からしたらガキやもんな。体だけは一丁前に成長してんねんけどなぁ。悲しいわ」

「…」

「桐生さん、私のこと抱いてくれへん?」

「な、何を言ってるんだ。馬鹿なことを言うんじゃない」


早く、少女から大人になりたかった。この痛みを紛らわせたかった。大人になって綺麗になって、真島さんを見返したい一心で。

桐生さんは肩から手を離すと顔を逸らす。嶋野組の娘やとしても関係あらへん。私の処女あげてもええ思うんが桐生さんしかおらんから、ええねん。

顔を逸らす桐生さんに対して、今度は私が頬を挟み、こちらを向かせ、唇を奪った。桐生さんの目が大きく見開くのがわかる。逃げようとするから、後頭部を押さえつけて、無理やり舌を入れた。そこで桐生さんが本気で肩を押して引き剥がされた。


「お前、何やってんだ」

「桐生さん、私を女にしてください。こんなガキですけど、抱けないのなら、他を当たります。でも桐生さんだからこそお願いしています。早く女になりたいんです」


怒っているとわかっていたが、頭を下げた。このままやと悔しいから。私が美人になって、大人らしくなったら真島さんどう思うかな。でも、私なんか妹のようにしか思ってないんやし、何も思わんかもしれん。私の自己満に桐生さんを使うなんて失礼かもしれん。


はぁ、と溜息をつかれたのがわかった。やっぱ無理やったか。頭を下げているので、涙がベンチに落ちる。


「お嬢、抱かれるっていうのは好きな奴にされるもんだ。お前は失恋したばっかりでヤケになっている気しかしねぇ。それに他の男で頭が一杯になっている女を抱こうとは思わねぇ。自分を大事にするんだな」

「じゃあ、桐生さんで一杯にしてや」


帰ろうとする桐生さんの背中に咄嗟に抱き着いた。はよ、頭から真島さんを消したかったから。こんなんやと、いつまでも忘れられんから。


「…はぁ。わかった。だが嶋野の叔父貴には言うんじゃねぇぞ。…殺されるからな。」


溜息をつかれながら、頭を撫でてくれた桐生さん。これで一歩近づける気がする。


「ほんま?桐生さん、じゃあ私の誘いに乗ってくれたん?」

「ああ、本当はこういう事は好きな人としかやっちゃいけねぇんだ。次からは自分を安く売るなよ。」

「わかった。でも私桐生さんのこと好きやからええねん。他の男になんか、こんなこと頼まへんで。ほんまに信頼してる人にしか、言わへんから」


桐生さんとホテル街へ向かう。ああ、ちょっと緊張してきたかも。最初は痛いって言うよなぁ。どんなんなんか、わからんからちょっと怖い。ホテルに入り、受付をする。適当に部屋を選んで、部屋に向かった。少し不安が伝わったんか、隣で歩く桐生さんには頭を撫でられる。部屋に着くと、可愛らしい部屋で少し気分が高まった。こんな感じでめっちゃ可愛いねんや。でもオモチャを見つけて、ここはラブホテルなんや、と実感する。とりあえず桐生さんとソファーに座った。タバコを吸うようで、私の持っているライターに火をつけた。


「ありがとう。ライターなんか持ってんのか?」

「おとんに教え込まれてるからなぁ。こういう作法も覚えとけって」

「嶋野の叔父貴も教育熱心なんだな。…なぁ、レン。今なら止めれるぜ。引き返したいなら、やめる」

「女に二言はない!でも、初めてやから優しくしてな?」

「…お前は本当に男心をくすぐるのが上手だ。そういった点も女に近づいてると思うぞ」


桐生さんと腕を組む。お風呂とか入ったほうがええんかな。わからん。困ったから桐生さんの顔を見ると、不意に唇が重なった。あ、始まるんかな。タバコは既に消されていて、ソファーで押し倒される。


「…初めてが俺で後悔しないんだな?」

「しいひんよ。その代わり優しくしてな」


そう言い終わると、上に乗っている桐生さんから、濃いキスをされる。舌が口に入ってきて、歯をなぞったり、舌を吸われたり。お互いの唾液が混ざり合って、少し変な感じがする。桐生さんの口は煙草の味で少し苦かった。息をするのが苦しくなって、桐生さんの肩を叩いた。すると桐生さんは笑って、悪かった。こういう時は鼻で息すんだよ。と教えてもらい、またキスが再開された。息の仕方を教えてもらったので、今度は苦しくない。キスに集中できるも、なかなか桐生さんのように、うまく絡み取れない。それを察してさらに、桐生さんの舌が私の舌を絡め取る。なんだか頭が動かなくなってきた。キスをしながらいきなり体が浮いた。どうやから、桐生さんが横抱きで持ち上げてくれたらしい。首に腕を回してずっとキスをする。キスだけでこんなに気持ちの良いものだとは思わなかった。ベッドに下ろされるまでずーっとキスだらけ。軽いキスも濃いキスも。ああ、恋人たちはこうやって愛を深めるのか。キスをしている時はなんだか2人の気持ちが重なり合っている気がする。真島さんも、奥さんとこんなことしてんのかな。

真島さんのことを考えると、それに気がついた桐生さんが唇を離した。私の上に馬乗りになっている。


「俺は抱かれている時にちがう男のこと考えている女を抱く趣味はねぇ」

「…桐生さんで消してや。桐生さんのキス気持ち良くて、…ッ」

「言われなくてもそうしてやる」



桐生さんって普段はめっちゃ優しいけど、女を抱く時には少し強引になるんや。そのギャップがええなぁ。そら、女の人にモテるんわかるわ。

服を脱がされ、ブラジャーとパンツ一枚になった。少し恥ずかしい。顔を逸らすとまたキスをされる。なんで、私だけ脱いで、桐生さん脱がへんのやろう。桐生さんのシャツのボタンを外して脱がせた。お互い素肌が触れ合う。なんだか、気持ち良くて。


「お前の体、綺麗だ。立派に育ってるな」

「やらしい言い方せんとって、ふ、あ、…っ!」


胸をブラジャー越しに揉まれる。なんだか変な気分になってくる。桐生さんは器用に片手でフォックを外し、胸がさらけ出された。手で隠そうとすると、掴まれて隠せない。今度は直接揉まれて声が出てしまう。それに、舐められてまた甲高い声が出てしまった。恥ずかしい。手で口を抑えるものの、桐生さんは声を聞く方が男は興奮するもんだと教えてくれた。口を抑えるのもやめ、感じたまま声を出す。


「き、りゅうさ、んっあかん、」

「感じてる証拠だ。処女なのに、感度がいいのもやらしいもんだな」


乳首を舐められたら、たまったもんじゃない。腰が自然と動く。胸ばかり触られていて、パンツが濡れていることがわかった。これが感じている証拠なのだろうか。桐生さんにパンツを脱がされ、目の前に持って来られた。


「このシミが感じてる証だ。本当に処女なのか?」

「っ、処女や、っん!あぁ、そんな舐めんといて」

「…じゃあ、下も触るぜ」


私の濡れた女性器は、すぐに桐生さんの指が入った。1本だろうか。また変な気分になってきた。自分がまた濡れてきてるのがわかる。桐生さんにはこんなにすんなり入るなんて感じすぎだろと耳元で囁かれ、腰がまた動いた。早くめちゃくちゃにしてほしい。

指を動かされ、胸とは違った快感が体を巡る。声が抑えきれず、最初あった恥ずかしさもなくなっていた。今はただ気持ちいいことを、もっとしてほしいとしか思わなかった。指を二本に増やされ最初は痛かったが、すぐに快感に代わる。ゆっくり動かすことから早く動かされ、なにかがきそうだった。


「きりゅ、さぁん、なんかくる….!っああ、あかん。もう無理、ああ!」


体が痙攣して、女性器が桐生さんの指を締め付けるのがわかった。しばらくそれが続き、終わった後はぐったりと力つきる。指を抜かれ、その指を舐める桐生さんを見てまた下半身が疼いた。私、相当変態ちゃうんかな。


「イったな。これがイくってことだ。気持ちいいだろ」

「はぁ、はぁ…」

「…そろそろ挿れるか」


既に頭は正常に動いてなかった。快感が止まらなくて、されるがままであった。とうとう男のものが挿入されるのだ。桐生さんのものは大きくて、いつの間にかゴムをつけていた。そのものを私の子宮口に当てがわれて、硬さがわかる。


「後悔しねぇな。今なら止めれるぞ」

「嘘、桐生さん挿れたくてたまらへんくせに」

「生意気なやつだ…っ、力を抜け」


段々と挿入されるが、なかなかの激痛で。我慢するものの、桐生さんのが大きくて引き裂かれそう。唇を噛み締めて、その痛さに耐える。桐生さんが肩を噛めというので、噛んだ瞬間、一気に奥まで挿れられた。


「痛いわ、桐生さん…」

「よく我慢したな。これで処女卒業だ。気持ちはどうだ?」

「…こんな痛いと思ってへんかった。でも大人に近づけたんかな」

「最初だけだ、痛いのは。段々と気持ち良くなってくる」


処女膜が破れたと同時に喪失感がくる。段々と鈍い痛みがゆるい快感に変わっていくのがわかった。桐生さんはゆっくり動く度に甘い声が出る。段々と動きが速くなり、また声が溢れる。

色んな体位で攻められ、何度も達するが、桐生さんは止めない。もう意識飛ぶと思うと止めて、また動くのを再開する。お互い汗だらけで、セックスとはなんとも神秘的なものだと思った。こんなことをして、お互い愛を感じるんやなぁ。私と桐生さんに愛はないけれど。

正常位で挿れられ、そろそろ限界だと伝えられた。何の限界やろ、と思っていたらさらに動きが早くなり、色んなところを舐められ、噛まれて、レン、イクぞと耳元で囁かれたと同時に私たちはお互い達した。私の中でびくん、と何かが出ているのがわかる。それが気持ち良くて締めつけてしまうと、また本当に処女かと疑われてしまった。


行為が終わり、桐生さんは私に見えないように、ゴムの処理をした後お互いベッドに横になる。腕枕をしてくれ、筋肉に包まれる。さっきまであんな行為していたのが嘘みたい。恥ずかしさが込み上げる。


「…どうだ。満足したか」

「腰痛いわ。後、桐生さんってセックス中は性格変わるねんな」

「レンがあんまりにも可愛すぎるもんでな。風呂入るか?」

「ふふ、おだてるんが上手やなぁ。先入らせてもらおかな」

「やっと笑ったな。立てるか?」

「ん、大丈夫。我儘に付き合うてくれてありがとうね、桐生さん」

「いや、構わないが。…本当は初めてっつうのは大事にしなきゃなんねぇんだぞ。そんな大事なものを俺にくれてよかったのか?」

「桐生さんやから、してほしかってん。真島さんにしかこれからも興味ないやろし、他の子と恋愛なんかする気ないし。やから、こういうのがなかったら、ずっと私処女やったやろから」


そう言うと、風呂場に向かおうとしたら、後ろから抱き締められた。桐生さん不器用やから、こうやって行動で慰めてくれてるんやろなぁ。


「いい女が勿体ねえ。またいい恋しろよ。世の中には腐るほど男はいる」

「桐生さん、桐生さんもいい恋してな。ユミさんやっけ?ほんまは私とこないなことしたあかんねんで。今日だけは私の恋人になってくれてありがとう」


向き合って、桐生さんの頬に唇を当てる。お風呂入らな、と思ったらどうやら桐生さんも一緒に入るらしい。ん?お風呂一緒に入るんは恥ずかしいで?



「今日だけ、お前の恋人になってやる。だから、レンも忘れろ。まだ昼前だから、まだまだ時間はあるな」

「あ、桐生さん…?」

「お前に教え込んでやるよ。大人のデートでもするか」



お風呂で体を洗う際にも求められ、更にぐったりとしてしまった。はあ、2回もするなんて思ってなかったけど。結局流されて、お風呂場で逆上せてしまった。あがって、涼んでいると桐生さんは煙草を吸って落ち着いていた。


1度ゆっくり寝たいなぁ、と目を瞑ると意識が飛んでいた。





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