元通り、めでたし、めでたし
「レン、久しぶりやなぁ。会いたかったで」
家でおかんと大阪であった話しとったら、家のチャイムが鳴った。誰やおもてドア開けたら変な格好した真島さんとおとんやった。一瞬で真島さんやってわかった。その瞬間抱きついた。勢い凄かったけど、受け止めてくれて、頬ずりもしてくれた。髭痛かったけど。
「おかえり!真島さん!そないな変な格好して!でもよう似合てるよ」
「すまんなぁ、色々あってレンだけ先帰ることなったんや」
「おとんから聞いてんで」
今まで黙っていたおとんが堪忍袋の尾が千切れたみたいや。真島さんの頭を叩いた。真島さんの腕の中にいる私には当たらないように配慮して。
「おい、真島ァ!レンに触りすぎやねんアホ!お前がレンに会いたいから言うから連れてきたのに、こんのボケ!レンもやっと大阪から帰ってきたおもたら、真島さん真島さん言うもんやからなぁ!わしは連れてきてん!そないにいちゃつくなや!」
「いっ…!親父痛いですわ、そないに叩かんでも」
「なんや騒がしいな。あんたら玄関先で何してんねん」
「おかん!真島さんや」
「真島か。久々やな。大阪ではレンがお世話になったみたいで、ありがとうな。まぁ、玄関先で騒いでもあれやし、上がりぃな。太さんおかえりなさい。お腹すいとるやろ?」
「ああ、なんか適当に作ってくれや」
おとんとおかんは仲が良い思う。阿吽の呼吸言うんやろか。私とか他の人がおったら隙を見せへんおかんやけど、おとんと2人きりになったら全く別人らしい。一回だけ見たことあるけど、ほんま誰?ってくらいおとんに甘えててビビった。私が入った瞬間、いつものおかんになってたけど。
「いや、俺は…」
「何言うてんの、真島さん!ええやんな?おとん」
「別に構わんで。レンのこと触らんのやったらな」
「もーしつこいなぁ」
この日の私は相当気分が上がっていた。真島さんに会えへん思てたけど、会えて嬉しかった。嶋野組に戻って来れて、前みたいに会える思たら嬉しくてたまらんかった。やから、体が勝手に動いてしゃあなかったと思うしかない。やってな、私真島さんのことめっちゃ好きやねんもん。
ずっと腕の中にいたけど、背伸びして真島さんの唇奪ってもうた。あ、やってもうた、と思ったんは固まった3人を見た後。
まず、真島さんが照れた。顔が少し赤くなって、じっと私を見つめていて、何故か私も照れてもうた。その次に動いたんはおかん。我が娘も女になりつつあるんやなぁ、と感慨深いようであった。
問題はおとんや。放心状態でその場からいっこも動かんかった。それを見たおかんが駆け寄って、こう言うた。
「レンも女になりつつあんねん。嬉しいことやないの。知らん人間ならまだしも、真島やからええやないの」
「レンはわしと結婚するいうたのに、なんや悲しいわ。ファーストキスが真島…」
「あ、ファーストキスちゃうで」
「おい、俺知らんぞ。誰やねんそいつ」
「龍司くん。神室町に帰る時に最後会ってて、その時に不意にされてん。龍司くん私のこと好きやってんて」
「やっぱあのガキ…!」
「龍司って誰やねん!ほんま大阪しばきにいこか」
「一緒に行きますわ」
何故かおとんと真島さんが意気投合して、玄関から出ようとした時、頭に拳骨が落ちた。
「あんたら、ええ加減にせえや!!レンは成長してんねん!!いつまでも子どもやないねんから、はよ上がれや!!」
「す、すんまへん」
「お、お前すまんかった」
おかんは強し。龍司くん、あれから元気にしてるやろか。もう会うことはないかもしれんけど、唯一の友達やったしなぁ。また会えたら会いたいな。好きになってくれてありがとうや。私のファーストキスの相手やし、ずっと忘れへんやろなぁ。
また日常に戻ってきた。
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