襲ってしまえ、ホトトギス
真島さんちの台所は全然使ってる様子がなかった。まず、物がなさすぎる。なんもないでぇ、とは言っていたけれど、包丁もまな板もなかった。外食ばっかやなぁ、これは。エプロンも先ほど買ったものを着ける。真島さんがフリフリを選んだ。悪趣味や。
「真島さん、普段料理とか作らへんの?」
「せやなぁ。いつも組の奴らと適当にすませるわ」
「もう若ないねんから、健康に気をつけてよ?私が作ったるから」
「それは素直に嬉しいわ。おれも何か手伝うで!」
「ほんならキャベツ千切りできる?それか後ろからぎゅーってしててもええで」
いや、抱きしめるんかい。新婚さんみたいや。…心臓うるさいわ。多分千切りとかわからんのやろう。首元から真島さんの匂いがする。首筋に顔を埋まらせていた。くすぐったいし、髭ちょっと痛いし。
「…」
「千切りとかわからんのやろ。かわええなぁ、真島さんは」
「すまんなぁ。それよりレンはいい匂いすんなぁ…ってちゃう!うわ、俺めっちゃ変態な親父やんけ!」
すぐ離れてもうて残念。真島さんの顔が赤いんがわかる。もう逃げんといてほしい。私のこと好きなくせに、アホな人やわぁ。思わず笑ってしまう。
「真島さん、やっと私の魅力に気づいたなぁ?ほれほれ、もっと近う寄れ」
「やかましいねん!あと俺何もできひんけど、米は炊ける」
「ほんなら三合炊いといて。ま、お楽しみは後でとっとくもんやな」
「何もせんわ。いや、したあかんで。親父に合わす顔ないから」
今日は逃す気ないからな。おとんとか関係ない。すぐにハンバーグを作る。真島さんの寝室後で覗かなあかんわ。楽しみや、と思わず歌ってしまう。真島さんも横で楽しそうにしてた。
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「いやぁ、やっぱりレンの飯はうまい!!久しぶりに手料理っちゅう、手料理食べたなぁ」
「そんな喜んでくれて嬉しいわぁ。お嫁さんにしてくれてもええねんで?」
「…なんでお前は俺のことそんなに好きでおってくれるねん。理解できへん」
食べ終わって、食器を片付ける。ソファーにくつろいでいる真島さんの横に座った。まだわかってへんの、ほんまにボケやわ。ボケボケすぎる。真島さんの肩に頭を置いた。あかん、近くて緊張する!
「真島さんとおったらな、素の私でおれるから。一緒におったら楽しいから。理由なんかいくらでもあんねん。もうそろそろいいやんな」
いきなりソファーに真島さんを押し倒す。突然の出来事で真島さんは目をみ開けて驚いていた。馬乗りになる私に何するねんと呟く。胸にピタリと顔をくっつけた。真島さんの心臓早いやん。思わず口角あがる。いきなり襲う作戦成功やな。
「このまま真島さんのこと手に入れられんの嫌やわ。やから、黙って私のもんになって」
「ッ、やめろや、お前何してるんかわかってんのか」
服を脱いでいく。ワンピースも下着も何もかも脱いだ。また馬乗りに戻り、そのまま、真島さんにキスをする。最初は触れるだけのキスやったけど、段々と深くするたびに、真島さんのあそこが硬くなっていくのがわかる。
ほんまに嫌やったら抵抗するもんな?してないもん。真島さんも私のこと好きなくせに、ええ加減気づいてくれへんかなぁ。
真島さんのジャケットを脱がす。鍛えられた体が露わになる。綺麗やわぁ。すっと顔をなぞるとビクリと震える。あかん、たまらんわぁ。その顔。キスをしながら乳首をなぞる。真島さん感じてるんかなぁ。
「なぁ、気持ちいい?」
「黙れ、ほんまに。えらいことしてくれよって…」
「嫌やったらやめるけど。私真島さんに拒否されるんやったら、もうここで真島さんのこと諦めるわ。ちゃう男のとこ行く。選んで?」
すると真島さんはいきなり起き上がって私のこと抱き締めた。素肌と素肌で気持ちいい。真島さんは黙ったまんまやった。
「お前には敵わんわ。…俺のもんになれや」
「え、」
「なんやねん。レンの真島さんになったる言うてんのに」
「それほんま…?」
「ほんまや。ほんまに恥ずかしいねん。いきなり襲われて、こんなことまで言わせて」
「真島さん、私のもんになってくれるん?」
「そう言うてるやろが。あぁ、ほんま親父に何て言われるやろ」
「〜ッ、大好き!愛してる!」
「うわ、お前いきなり押し倒すなや!…俺も好きや。ああ、ほんまにやってくれたな。こんなんなる予定ちゃうかったのに」
「私はなる予定やってん!やったぁ、私やっと真島さんの女になれた!…嬉しい」
「泣くなや。…もうお前の涙見るん3回目やな。泣かせてもうてすまんなぁ。あと待たせてもうてすまん。これからレンしか見ぃひんから」
「当たり前や。私以外見たら知らんからな」
そう言って唇を重ねた。幸せすぎて死ぬかもしれへん。いや、こんなとこで死ねるか。真島さんの腕の中で、顔のにやけを抑えれんかった。
「なぁ、レン」
「何よ?」
「服を着てくれへんか。目に毒や」
「ええ、正直言うてこの体見たかったくせに?」
「生意気やなぁ。ほれ、体冷えるやろ」
無理やり下着とワンピースを着せられる。なんで手を出してくれへんの。拗ねたふりをすると、黙って煙草を吸おうとするので、ライターに火をつけた。
「なんで抱いてくれへんのよ」
「アホ、恋人なったからってすぐ抱くわけちゃうわ」
「我慢せんでええのに?」
「なかなかきついねんで…ってちゃうねん。親父にちゃんと言うてからやないと気が済まんわ。」
「はぁ、また待たされるん?真島さん犯したろか」
「口悪いねん。これからゆーっくり可愛がったるから、そんな拗ねんなや」
「…しゃあなしやで」
「嬉しがってるんわかってるからなぁ。あかん可愛えわ」
「いや、可愛さは真島さんに負けるわ。さすがの私でも」
「そんなん言うんお前くらいやで」
真島さんからキスしてくれる…!抱きしめてくれる…!これが恋人かと感動をしてしまう。とろけそうになるわ。煙草を吸う真島さんもかっこよくて、頬に唇を当てがうと、照れてた。これが恋人同士のいちゃいちゃっちゅうやつかなぁ。
「今日泊まっていい?」
「もう送るに決まってるやろ。そん時に親父に挨拶させてもらうわ」
「私の予想、おとんから一発殴られるな」
「いや、親父のことやから、一旦殴って多分ビンタしてくると思うわ」
正解は真島さんでした。
喜んでたけれど、内心娘を取られた気分で手が出たらしい。おかんに諌められてたけどな。おかんはおめでとう言うて、家に真島さんを上げて出てきたのはケーキ。そろそろかなぁ、思てたらしいわ、鋭すぎるやろ、おかん。
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