Dear,my family

人間とホムンクルスの戦いから後、エドは真理の扉を対価にアルの体を取り戻した。流石わたしの自慢の弟ね!いくらパパが父親だから自分の命を使えと言っても、それを使おうとしたらわたしは弟をぶん殴るところだった。パパもね。
ところでパパのことはっ倒すぞ、って怒鳴ったエドの顔、笑っちゃった。反抗期を拗らせたのはわたしだけじゃなくてエドもだね。

パパはママのお墓の前から先にトリシャのもとへといった。わたしはまだトリシャに伝えたい話をいっぱい貯めてから行くことにしたの。可愛い子には旅をさせよって言うでしょ?パパ。だからもう少し待ってて。嘘吐かないよ。ちゃんと後から追いかけるから。それまでは…そう。ママと二人イチャイチャするの、許してあげる。
ちなみにパパのお墓はママのやつの隣。もう一個の隣はわたしが予約してるんだからね。あ、でも挟まれるってのもいいかも。


「ねぇ、パパ。わたしね、伝えたいことがあるの」


弟達はそれぞれ新しい目的のためにまた歩き出した。んーっふっふ。やっぱ自慢の弟ね。新しい法則を見つける、とか言ってたけど、もうその片鱗は見つけてると思うの。10もらえば上乗せして11に。きっとあの二人なら出来るはず。だってこのわたしの弟だもの!

わたしはというと、あれから北に行くことにしたの。約束の日に一目惚れした相手がそこの女王様だったから。あの人を視界に入れた瞬間、わたしの体の中心部に電撃が走った。そして直感。「(これが、一目惚れ…!)」美しい金の髪。凛としたその立ち振る舞い。上に立つものの迫力。なにより彼女の魂に、惹かれたのか。一目惚れなんて人生初めての経験だわ。そういやパパもトリシャに一目惚れしたんだっけ?世紀の運命の出会いが一目惚れ、だなんて、やっぱ親子だね。
北は厳しい場所だって聞いたけど、きっとそこでわたしは新しい自分になれると思う。一人立ちってやつね。次に会った時、しっかり自立した姿見せてあげるんだから。


「あのね、『昔も今もこれからも、ずっと大好きだよ。愛してるよ』って」


だってわたし達、家族でしょ?パパもトリシャも、エドもアルも、それから……ううん。わざわざ言葉にする必要なんてないよね。だってちゃんと伝わってると思うから。

わたしは紛い物の石ではあるけれど、この思いだけは昔から本当だよ。

mae ato
mokuji

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