厭味なプレゼント

「エドが連れて行かれた」


どこへ?言うまでもない。大嫌いなアイツのところへ。

人柱に選ばれるのは真理の扉を開いた者。エド、アル、二人の師匠のイズミさん、そしてパパ。もう一つのイスはまだ空席。

わたしはね、人柱にはなれないの。そういう風にアイツが作り変えたの。わたしは紛い物。弟達はアイツの選んだソレ。


「娘のお前に、私からプレゼントをやろう」


憎いわ。アイツの戯れでこんな体にされて、しかも大好きなパパと同じじゃないなんて。アンタっていつもそう。わたしの嫌がるとこを的確に突いてきて。ムカついてムカついて仕方ないわ。

パパはね、そんな意地悪なアンタでも一応好きだったのよ。仲良く錬金術について笑いながら、熱烈に語り合うのは悪くなかったって言ってた。長年を共にしたことも、嫌ではなかったとも言ってた。そんなアンタだからね、わたしは嫌いなの。アンタはパパを……わたしを裏切った。

アンタはわたしの嫌がることばかりするわ。大切なものを傷つけて、大事な家族を人柱なんてものに選んで、わたしが腹を立てるようなことばかりして。

パパはアンタのこと、信用してた。同じ形はしてないけれど、血を分けた兄弟みたいなもんだって。わたしに名前と知識をくれたのはパパだったけれど、パパに名前と知識を与えたのはアンタだからって。わたしに出来ないことを、アンタはパパに出来ていた。
アンタにないものをわたしは持ってるけど、わたしにないものをアンタは持ってる。だから余計憎いのよ。


「ねぇ…?フラスコの中の小人」

mae ato
mokuji

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