嫌悪感の再確認
屋台でパパに「ちょっと待ってろ」と言われたからちまちまとご飯を食べてたのに、気付いたら傲慢のホムンクルスを倒したってエドに迎えに来られた。アルが囮になったって。どういうこと、聞いてない。わたしだってね、パパの助手とかしてたんだから戦えるんだからね!いくらわたしがひ弱な少女に見えるからってね…。守られてばっかりじゃないんだから、もう!それともわたしは救護担当って言いたいわけ?
ぷりぷり怒りながら錬丹術での応急手当をした。キメラだっていう、金髪が素敵なライオンのおじさんの腕に包帯を巻き付けて。その髭もダンディーで良いと思う。けど、わたしがいたらもう少し軽傷で済んだかもしれないのに…。自意識過剰じゃなくて単なる自信ね。
アイツの野望を打ち砕くためには前に行ったセントラルの地下へ行って、アイツを直接叩き潰さなきゃいけない。けどスカーの知っている一つの入口には包囲網が敷かれていた。そこからは入れない。
ならば他の方法を。第三研究所。そこにはセントラル地下への別の入口があるのだと。
地下道は二つに分かれていたので、二手に別れることになった。んー、地下だけあってちょっとジメジメしてる。
「テオはエドに着いて行きなさい」
「はーい」
パパに言われたからそうするの。エドやスカーよりパパの方がずっと強いから、向こうは人数少なくても全然きっと大丈夫。トテトテとエドの傍に歩み寄ったら、案の定大人組から大丈夫か?みたいな目線を向けられた。
「なぁに?その目。足手纏いだって言いたいの?」
「いや、そんなんじゃ…」
「言っておくけど、わたしはあなた達の何十倍も強くて、何十倍も生きてるんだからね」
子供の姿だからってバカにしないでよね、と胸を張ったらぎょっとさらに凝視された。だから失礼。パパだってうんうんと頷いて肯定してるんだから、さっさと納得しなさいよ。謝りなさいよ。
「でもエド。わたし歩き疲れたの。おんぶして」
「はァ!?」
む。お姉ちゃんに向かってその口の利き方は何なの?成長期だからちょっと身長伸びたからって。生意気なんじゃない?
「じゃあいい。スカーさんにやってもらうもん」
「……なぜ俺がアメストリス人を」
「わたしはクセルクセス人よ」
目が青じゃなくて金色なんだから。ちゃんと識別して欲しいわ。
でもなんだかんだ言ってわたしを抱き上げてくれるあたり、スカーって優しいのね。意外。人って見た目によらないわ。
白くて広い空間に出たら、これまたでかい扉があって。エドがどうにかして開けようとしたけれど、その扉は向こう側から勝手に開いてしまった。そして溢れ出て来る白い人形。
ぞわり、と背筋に悪寒が走った。なんだろう、この感じ。上手く言い表せないけれど…既視感、とでも言えばいいの?この内側から湧き上がるような慟哭は…。
「まさか…!」エドもわたしと同じ答えに行き着いたのだろう。憎々しげに人形を睨み付けた。
「やっぱり大嫌いね、アイツ」
わたしが嫌いな行動ばっかりする。