本当の家族
んっふっふ。リオールに暫く滞在することになって、ついでに復興を手伝ってると、なんと!アルにまた再会出来たのだ!しかも今回はウィンリィも一緒!顔を合わせた瞬間、皆でおぉ!と言いながら指差し合った。ウケた。
「ウィンリィ!会いたかったー!」「テオ!?アンタ今まで何してたの!?」「見ての通りパパとの長い旅行だよー」その時のウィンリィの顔、面白かった。
アル達は賢者の石について調べ回ってきたことで、アイツのしようとしていることに近付いていってるらしい。力を貸してと言ったアルにパパは全部話して、アルはそれを受け入れた。から、今度はわたしの番。「あのね」と口を開いた。
「わたしね、孤児なの」
「うん…ん!?」
「本当のパパもママも、知らないの」
アルが固まったのが伝わってきた。ビックリするよね、自分の姉が元とはいえ孤児だったなんて。
クセルクセスにいた頃ね、路地裏にいたところをパパが拾ってくれたの。その時のパパの手、暖かかった。今も覚えてる。毎日どうやって生きるか、そればかり考えてて、幸せについて考える暇なんてなかった。ご飯も寝床も、安全も。そういうことばっか心配して生きてた。我ながら過酷な暮らしだったなと思う。
それだけに父から――後に母であり友である人も――から与えられた温もりはわたしの心を癒してくれた。これほどまでの幸せを享受してもいいのかと、自問自答を繰り返す日々もあった。その度に父は、人が幸せを目指して生きることに罪悪感を感じる必要はない、と慰めてくれ。わたしに幸せになるための魔法を教えてくれた。それが、クセルクセス王朝時代の話。
「その頃のホーエ、ホーウェ……パパはね」
「(まだ呼べないのか…)」
「(父さんの名前言えないんだ…)」
「凄腕の錬金術師で、私は助手をすることになったの。ちなみに“小人”はわたしのことバカにしてきたから大っ嫌い」
うわぁ…という表情をパパとアルの二人はしている。嫌いなものは嫌いなんだもん。仕方ないじゃん。
わたしはパパと違って紛い物の賢者の石だから人柱にはなれないけれど、不本意とはいえ不老不死になってしまったから、こうやってずっとパパと生きてきた。
それから色々あって、リゼンブールに滞在してた時トリシャと出会ったの。トリシャはとっても優しくて、すぐ仲良くなった。パパより先に仲良くなったのはわたしの自慢の一つ。
「わたしを産んでくれたパパとママは知らないけどね、私にとってのパパとママはパパとママなの。親友で、家族なの。もちろんアルとエドも」
だからね、わたし今とっても幸せなの。