大嫌いなアイツ

セントラルの中央は嫌い。わたしの大嫌いなアイツがいるから。アイツ、本当に嫌い。嫌い嫌い嫌い。偉ぶってて、人のこと見下してて、そういうとこが嫌い。パパと同じ顔してるってところが特にイヤ。

両手を合わせて陣を作って、術を発動。ノーモーションでも出来るけど、なんとなく気分。
アイツ、錬金術封じなんて卑怯なことしてるみたいだけど、わたしには無意味。一応わたしだって錬金術師で凄腕さんの助手もしてるし、練丹術を勉強したころもあるから。
壁の中の炭素成分を利用して嫌いなアイツに向けて攻撃を放った。炭素元素は組み合わせによってダイアモンドを作る。鋼鉄を超えるの硬さだ。「チッ」けど当たる前に分解されて意味がなくなってしまった。そしてそれを機にその場の視線が全てわたしに集まった。む、ちょっと居心地悪い。不快感を感じているけれど、状況を把握する。大切な兄弟が嫌いなアイツらに足蹴にされてて、パパのようにわたしの眉間に皺が寄っているのがわかった。


「テオ!?」
「嘘!ほんとに!?なんでこんなところに!」
「テオ…?」


へぇ。アンタわたしの名前、覚えてたんだ。ついでに顔も。どうでもいいけど。それよりもわたしはアンタがパパと同じ顔だから忘れようにも忘れられないのがムカつく。


「久しぶりの再会だというのに随分な挨拶だな」
「わたし、アンタのこと嫌いだもん。出会った瞬間からアンタのことが嫌い。アンタの全てが大嫌い。だからこれは普通の挨拶」
「え、なんでテオがお父様のこと…」


ごめんね、アル。今はそんなことに答えてられないの。もっと大事なことが目の前にあるから。


「そこの二人ね、私の大事な弟なの。手荒な真似しないでくれる?」
「ほぅ…お前の弟、か。また家族ごっこか?」
「ごっこじゃないわ。遊びをしているのはアンタでしょ?一緒にしないで、気色悪い」


ほら見てこの鳥肌。生理的にアンタのこと受け付けてないの。わかる?大切な家族の危機じゃなきゃこんなとこまで来ないわ。

mae ato
mokuji

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