大嫌いなアイツ

全くこれっぽっちも嬉しくないけれど、わたしの弟達は“人柱”ってやつだから無闇矢鱈には殺されたりしないとわかっている。けどなぁんかビビッと危険センサーをキャッチして、こんな来たくないとこまで来ちゃった。もちろん、パパにはちゃんと言って来た。わたしって良い子でしょ?

今エドとアルの二人は憤怒のホムンクルスと何やらお話し中。大総統なんだって。二人に変な真似しないだろうとは思うけど、けれど二人のことが心配なの。お姉ちゃんだもん。


「にしてもあのおチビさんの姉だなんてねぇ…」
「そんなにジロジロ見ないで」


エンヴィーっていうホムンクルスが着いてきてわたしに絡んでくるけど、ちょっと鬱陶しい。別にわたしはアンタと仲良くしたいわけじゃない。むしろ放って置いて欲しい。


「……なに?」
「いやぁ?お父様と一体どういう関係なのかな、と」


ニヤニヤとした笑みを向けてきて、イライラしてくる。アンタの笑みも嫌い。一番好きなのはママの笑顔ね。ママの笑顔は大好き。心がほかほかするから。

だいたいホムンクルスって、アイツの分身みたいなものなんでしょう?ますます嫌い。この際アイツがパパの分身みたいなものだっていう話は置いていく。


「別に。お互いにとっても古い知り合いってだけ」


ふぅん、と言ってエンヴィーは漸く顔を離した。少し息を吐く。


「それからね、わたしの好みのタイプは金髪の人なの。近付くならそういう人に変身して欲しいわ」
「そいつは失敬!」

mae ato
mokuji

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