*小梅、荒狂う*
つまらないつまらないつまらない。私、ちっとも笑えてないわ。楽しくない。毎日がつまらない。全然気分が晴れない。曇り模様のまま。バギーがいた頃はこんなこと……ってところまで考えて仕切り直すの。…バギーなんて知らない。 私が興味を持った子にちょっかいかけまくるんだもの。小さな男の子が恋心から女の子を虐める、みたいな可愛いものだといいのに。バギーは本気で麦わらのルフィくんを殺そうとするんだもの。私の嫌がることをするバギーなんて…嫌いなんだから。
はぁ、と赤い骸の上で溜め息。久しぶりに千万台のお尋ね者に手を出したっていうのに、つまらないわ。今度も拍子抜け。これっぽっちも私を満足させてくれなかった。私の心を満たしたくれる、満足させてくれる男はどこにいるの。
新聞をいくら読んでも、私好みの海賊は現れない。この前麦わらのルフィくんの記事を読んだのはいつだったかしら。あの時は楽しかったけど…けれどあまり長く興奮は続かなかったわね。調子出ないわ。呑めば少しは楽になるかしら。それともいっそ、シャンクスのところにでも行こうかしら。
「べ…紅傘のナマエ……生きてたのか……」 「なぁに?私が生きていたら何かまずいのかしら?」
いやね。私ったら見逃しがあるじゃない。しっかりしなきゃ。
きっと、この傘を降り下げても私の退屈は紛れないのね。ぐちゃぐちゃの死体が一つ増えるだけ。私の唇はもう暫く横一文字のまま。素敵な口紅が台無しよ。
「なぜ今になって、偉大なる航路に……」
……そんなの、ここが船長との思い出の航路だからよ。麦わらのルフィくんが今旅をしているからよ。決して…決してこの海にバギーがいるからじゃないわ。
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