口と財布は締めるが得(1/5)


「う゛ぉ゛ぉぉおおおおおおおおおおおおおい!!!!」


暗殺部隊からの暗号コードを解析し、モニターに映した後に響いた爆音は、聞き覚えのある声であった。某あさりファミリー直属の、某荒くれ暗殺集団の某鮫だ。あまりの大音量にラルからはとてつもない怒気が放たれている。

「耳の穴かっぽじってよぉく聞け!」とモニターに映った10年後のスクアーロが叫んだが、「そんなことする必要ないじゃん…」とツナは耳を押さえながら思った。


「いーかぁ、クソガキ共!今はそこを動くんじゃねえ!外に新しいリングの反応があったとしてもだ!」


「黒曜ランド」のことだな、とリボーンが呟いた。先程から彼らの頭を占めているのは、黒曜ランド付近で観測されたリングの反応であった。ツナの超直感で、仲間かも、クロームかもしれないから助けに行かないと、と話し合っていたところだ。


「しっしっし♪じっとしてりゃわっかりやすい指示あるから。それまでイイ子にしてろってことな、お子様達」


ジャンニーニが基地内の異常を観測したことを調べてある間に、スクアーロとベルは乱闘を始めた。相変わらずの荒くれ…とツナは冷や汗を流す。


「それから、アルのやろうに必ず連絡を寄越せ、と伝えろ!いや脅せ!さもなければ口座の残高を0にするぞ、このクソメイドがァ!とな!!」
「アルって…稲葉さん!?」


なぜここでアルの名前が出るのか、と首を傾げる。「あのヤロウ…勝手に日本へ飛びやがって……」ぶつくさ文句を言っているスクアーロの頬にはうっすらとアザが見える。ベルの表情はいくらか辟易と。アルがいないとヴァリアーでは苦労が増えるらしい。
だが、素直にスクアーロの言う通りのことを伝えると、脅した相手が半殺しにされてしまいそうだ、とリング争奪戦の時のことを思い出したツナは遠い目をした。


「またこの世で会えるといいなぁ!それまで生きてみろよォ!!」
「き、切れた…」
「こ、これだけ…」
「通信内容は以上です」


わかりやすい指示とは何なのか、と新しい疑問が浮かんだ。ジャンニーニがあの方のようだ、と言う。イタリアから戻ったあの方。

足音が響く。一体誰だ、と全員が入口の方向を向いた。


「笹川了平、推参!」
「芝生頭!」
「お兄さん!それに、クローム髑髏!」


日本支部に到着した笹川了平に、ツナ、獄寺に山本は駆け寄る。笹川兄の腕に抱かれている意識のないクロームを見て、やはり黒曜ランドにあった反応はクロームのものだったのだとわかった。


「私もいますよ」
「稲葉さんも!?え、それじゃあさっきのスクアーロの脅し……」
「挨拶は後ほどということで、通信機を貸してくれませんか?あの鮫……この私がフカヒレスープにしてくれようか」


その時のアルを見て、ツナはアルの背中には般若が浮かんでいたと言った。


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