挨拶より円札(1/3)


「んもぉ!皆ボロボロねぇ〜!」


ディーノ氏から用意された病院の一室に、ヴァリアーの幹部全員が揃っていた。皆傷だらけであり、唯一私だけが体に傷をつけていなかった。全員絶対安静であり、その中で私が一人で紅茶を優雅に嗜む。


「それで。私は解雇されるのでしょうか」


どちらにせよ結果が変わらなかっただろうとしても、ボスに使用人如きが傷を負わせたのだ。何かしらの責任を取らされることだろう。正直なところ、もう銃を撃つことはしたくないので寧ろ解雇されたい。
武器を使う世界はメリットとデメリットが釣り合っていない時が多い。私には不釣合いな世界だ。


「う゛ぉ゛おい!!ふざけてんじゃねぇぞ!!テメェにはみっちり働いてもらうからなぁ!!」
「…………チッ」


ばれない様に舌打ちしたつもりが、マーモン様に聞かれてしまったようだ。「ム」と反応していた。スクアーロ様はその爆音のような声がうるさい、とザンザス様に花瓶を投げられていた。


「そう言えば、9代目から面会を申し込まれていましたが」
「テメェが行ってこい」


いや、ここはボスであるザンザス様が行かれるべきだろうに。なぜ私が行かねばならないのか。いつものように反論など出来ないから、大人しく従うしかない。結局振り出しに戻るのか。畜生、転職したい。


「……皆様、絶対安静なので暫く病院食ですね」
「はぁ?あれ、クソ不味いじゃん」


私は9代目の面会に行かなければいけないので、と文句を言われる前に颯爽と病室から退室した。自分の料理の腕など把握している。精々栄養バランスが整った食事を楽しまれるといいでしょう。ヘッ、ちょっとした反抗心の芽生えだ。


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