早起きは三文の徳(1/3)


早起きは三文の徳。たとえたかが三文であれど、得さえ出来れば実行する。そういうわけで私は早起きだ。そして使用人の朝は早い。これまでの習慣がここで役立つとは思わなかった。

仕事の開始時間には早いうちに慣れそうだ。そしてその仕事のおかげで多くの金が手に入りそうだ。得、得、得ばかりで私としては幸せだ。


私の仕事はまず朝食作りから始まる。自分で言うのもどうかと思うが、私は様々な職を経てきた。
私の求めるものは金。そのためにはどの職がどれほどの金を得られ、どの職が一番効率が良いか知る必要がある。そのせいで私は様々な所謂特技というものを持っている。

一度レストランに勤めたこともあった。おかげで料理はお手の物。そして暗殺者の基本は体。栄養バランスを考慮して朝食を作っていく。

厨房から移動し、出来上がった朝食をテーブルの上に並べている間に私がお部屋を訪ねずとも、皆様は起床され、席につかれる。


「んん〜!今日もアルちゃんの料理は美味しいわぁ」
「ししっ、前の料理人とどっちが美味いんだろ」
「身に余るお言葉。恐縮にございます」


皆様がお食事を取られている間に、私は紅茶を用意する。
本日はアッサムのセカンドフラッシュ。くせの少ないアッサムは朝に最適であり、お好みのためにミルクも用意しておく。ちょうど昨日まで使っていた茶葉が切れてしまったので、質の良いセカンドフラッシュを出したのだが、香りからその良さが十二分に伝わってくる。


今日も今日とて任務があるらしい。シルバーと皿がぶつかり合う音がする中でも、幹部の皆様方は本日の予定を話し合わされる。何やら大きなことを起こすらしく、皆様休む暇がないほど働かれておられる。

多忙な皆様に尽くせてこその使用人。心地よい安らぎの時間を送れるように配慮するのが、このメイドたる私の仕事だ。

綺麗に完食された皿を見て、今日も快く働けそうだと思いながら私は食器を下げるのだ。


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