早起きは三文の徳(2/3)


食材の買い出しに関しても私の仕事だ。自ら商店街に足を運び、自分の目で食材の見極めをする。ヴァリアー邸はイタリアにある。パスタで有名な国、今日はカルボナーラにでもしようかと思いながら買い出しを続ける。


私はお金を貯めることも好きだが、お金を使うことも好きだ。売買の関係は単純だ。金が動くことでそこに必然的に関係が生まれる。その関係が私の持っている唯一の繋がりだ。

イタリアはマフィアの数が多い。昔の関係で私が一方的に知っている顔を買い物の最中にちらほらと見かけた。けれど今は彼らにかまけている暇はない。良き買い物が出来たのだ。早く帰って食事の用意でもするとしよう。



「アルってば、たまには私達とおやつを一緒にしましょうよ」
「ルッスーリア様からのお誘い、大変嬉しく思うのですが、私は使用人。ご一緒など出来ません」


そんな買い出しから帰り、アフタヌーンティーを用意したところをルッスーリア様に捕まり談話室へと連行された。談話室にいたのはルッスーリア様とマーモン様のみ。他の方々はいらっしゃらないようだ。


「マーモンもいいでしょ〜?」
「ムム、本当なら料金を受け取るところだけどね。まあいいよ」


この二人、私の話を聞いちゃいねえ。

あれよこれよとされるまま、結局私はソファーに半強制的に座らされ、ご一緒する形になってしまった。命令という魔法の言葉を出されたのだ。私の立場上強く言い返せなくなった。ニコニコと満足そうに笑うルッスーリア様を見て、仕方ないかと私は諦めるしかなかった。


「遠慮なんていらないわよぉ」
「って言ってもこの量を食べ切れるとは思ってないけどね」


私の目の前の机にはケーキ、クッキー、マフィン、パフェ、マドレーヌ、etc…など様々な大量のお菓子がある。全てルッスーリア様が作ったものだ。なんでも「ちょっとお菓子作りをしたいと思ったらいつの間にか」と笑っていた。いつの間にか、でこんなにも多くのお菓子が出来てしまうのだろうか。

ルッスーリア様は数日かけて処理していくつもりなようだが……「本当に頂いてもよろしいのでしょうか?」と尋ねると「勿論よ!」と笑顔で返された。それでは遠慮せず、とまずホールケーキに手を伸ばした。


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