バアル・ゼブル(1/4)


今晩はリング争奪戦最後の日。中庭にてお互いのチームが顔を合わせた。


「命ある守護者全員に強制招集を発動しました」


「強制招集…?」と沢田くんが繰り返した。瀕死の状態である守護者は誰であろうと、命があれば全員集められた。大空戦では6つのリングと、守護者の命を賭けるらしい。当然のように沢田くんはチェルベッロに抗うが、状況はどちらも同じなのだと諭される。

先にリングの回収を行い、サポーター戦の説明を、とチェルベッロの一人が言った。


「それでは前座として、サポーター戦を取り行います」


沢田くん達はまだ誰をサポーターとするか揉めているようだ。向こうはこちらと違い、候補が沢山いる。そのせいで悩むところがあるのだろう。


「沢田殿!拙者にやらせてください!」
「け、けどバジルくんやっぱり!」
「お願いです、沢田殿!負けるわけにはいかないのです…!」


バジルの強い口調、覚悟ある言葉に沢田くんは「それじゃあ……お願い」と返した。お互いのサポーターが決定したことで、チェルベッロがまた口を開いた。


「サポーター戦はリングを賭けた戦いではありません」
「ですので、勝者のチームでは本戦にて一つだけ優遇を認めます」
「両サポーター、前へ」


それを合図にバジルが動いた。


「向こうは門外顧問のガキか」
「ししっ、こっちはどうすんの?ボス」
「アル」


「はい」と短く返事をして前に出た。「やはりな」とリボーン先生が呟いたのが聞こえた。正直したくないです。でも反抗することは許されないのだろう。やっぱり昨夜のうちに逃げておけばよかった。


「なぬ!?ボス!何だってそんなやつを!?」
「黙って見てろ」


何だかどこかで聞いたような台詞だな、と思った。そうだ。獄寺くんに似ているのだ。顔は全く似てないが。


「じょ、女性!?…ですが、手加減はしない!」


バジルはそう言って死ぬ気丸を呑み込んだ。彼の額に炎が灯る。いつか商店街で見た彼とは気迫が違う。ハイパーモード、という状態だろうか。

勝敗はどちらか一方が降参するか、戦闘不能の状態に陥れば終了。シンプルな決定の仕方だ。


「フィールドはこの中庭です」
「それではサポーターの対戦」
「「勝負開始!」」


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