▼バアル・ゼブル(1/4)
今晩はリング争奪戦最後の日。中庭にてお互いのチームが顔を合わせた。
「命ある守護者全員に強制招集を発動しました」
「強制招集…?」と沢田くんが繰り返した。瀕死の状態である守護者は誰であろうと、命があれば全員集められた。大空戦では6つのリングと、守護者の命を賭けるらしい。当然のように沢田くんはチェルベッロに抗うが、状況はどちらも同じなのだと諭される。
先にリングの回収を行い、サポーター戦の説明を、とチェルベッロの一人が言った。
「それでは前座として、サポーター戦を取り行います」
沢田くん達はまだ誰をサポーターとするか揉めているようだ。向こうはこちらと違い、候補が沢山いる。そのせいで悩むところがあるのだろう。
「沢田殿!拙者にやらせてください!」 「け、けどバジルくんやっぱり!」 「お願いです、沢田殿!負けるわけにはいかないのです…!」
バジルの強い口調、覚悟ある言葉に沢田くんは「それじゃあ……お願い」と返した。お互いのサポーターが決定したことで、チェルベッロがまた口を開いた。
「サポーター戦はリングを賭けた戦いではありません」 「ですので、勝者のチームでは本戦にて一つだけ優遇を認めます」 「両サポーター、前へ」
それを合図にバジルが動いた。
「向こうは門外顧問のガキか」 「ししっ、こっちはどうすんの?ボス」 「アル」
「はい」と短く返事をして前に出た。「やはりな」とリボーン先生が呟いたのが聞こえた。正直したくないです。でも反抗することは許されないのだろう。やっぱり昨夜のうちに逃げておけばよかった。
「なぬ!?ボス!何だってそんなやつを!?」 「黙って見てろ」
何だかどこかで聞いたような台詞だな、と思った。そうだ。獄寺くんに似ているのだ。顔は全く似てないが。
「じょ、女性!?…ですが、手加減はしない!」
バジルはそう言って死ぬ気丸を呑み込んだ。彼の額に炎が灯る。いつか商店街で見た彼とは気迫が違う。ハイパーモード、という状態だろうか。
勝敗はどちらか一方が降参するか、戦闘不能の状態に陥れば終了。シンプルな決定の仕方だ。
「フィールドはこの中庭です」 「それではサポーターの対戦」 「「勝負開始!」」
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