出雲の神より恵比寿の紙(1/5)


入江さんが用意してくださったベッドに怪我人を横たえ、怪我の治療をした。その状況の中、ある吉報が届いた。


「ザンザスが敵の大将を倒したらしい」


リボーン先生が笑みと共に言った。敵は撤退を始めたらしい。ヴァリアーの圧勝だ。流石は皆様でいらっしゃる。

そんな中、笹川さんが入れ替わり、山本くんが目を覚まし。これでボンゴレリング7つ全てがこの時代に集結した。これで敵大将、白蘭を倒すための最低限の準備が整ったということ。

入江さんが沢田くんのみにボンゴレ匣を手渡した。けれどまだ彼はその匣を開けることが出来ないらしい。そのためにはアルコバレーノの印が必要、とのことで彼らは一旦過去に戻ることになった。

どうやらタイムトリップしてきた人全員、つまり私も同行しなくてはいけないようで。それは別に構わないのだが、ヴァリアーにどう連絡を取ったものだか。今度こそクビにされそうで嬉しい気持ちと職を失うという絶望感がごちゃ混ぜになっている。退職金ってあるのだろうか。


「ヴァリアーならイタリアに帰ったらしいぞ」
「……いつそれを聞いたのかわかりませんが、情報提供ありがとうございます」


とにかく連絡はしとけよ、とリボーン先生に言い付けられて電話を片手に十数分。先生から提供された情報により連絡先を探す、なんて手間はないのだが。いつまでこうしていても何も変わらないのでボタンをプッシュした。


「ハァ〜イ!こちら暗殺部隊のヴァリアーよぉん♪」
「ルッスーリア様でいらっしゃいますか?受付にかけたと思ったのですが…」
「あらん?その声はアル?今までどこにいたのよぉ。私は今任務がなくて暇だし、ボスはボスでアルがいなくなって暴れて手がつけられないし〜」
「それは、その……すみませんでした」


なぜ私が謝るのかわからないが、謝っておくべきなのだろうことは伝わってきた。

ともかく込み入った事情があるので今すぐ帰ることは無理そうです、と伝えておいた。かなり無茶苦茶な言い分なのでこれで本当にクビになるかもしれない。


「メイドの分際でザンザス様のご不満を駆るなど失礼だぞ!」


この声はレヴィ様だろうか?反論の余地はないので黙ってしまった。受話器の向こうではルッスーリア様がレヴィ様を責めているようだが事実なので庇ってもらわずともいいのに。クビなら退職金を要求します。


「ししっ!メイドが主人の世話ほっぽいて遊び回ってるんじゃねぇっつーの。…で?今ジャッポーネだって?」
「はい。少しの間並盛に滞在する予定です」
「帰ってくるな!貴様などクビだァッ!?ぼ、ボス!?」
「ジャッポーネに飛ぶぞ。準備しろ」
「お゛ぉ゛おい!このクソボスまだ任務が、イテェッ!」
「ボスぅ〜!また高いワインが勿体無いわぁ!!」
「僕も日本に用があるからね。丁度いい」


そのままごちゃごちゃ向こうで騒いでいたようで、突然電話が切れた。ツーツーと無機質な機械音がだけが耳に入ってくる。


「…………はい?」


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