出雲の神より恵比寿の紙(2/5)


「あ、アル!」


並盛商店街であれとこれと、と買い出しに励んでいるとどこからか名前を呼ばれた。一体誰が、ときょろきょろと周りを見回すと、リボーン先生に沢田くんの姿を見つけた。あちらも買い物なのだろうか。


「こんにちは。試練の具合はいかがですか?」
「えっと、今はコロネロの試練が終わったばかりで」
「そうですか。ご苦労様です。引き続き頑張ってくださいね。では」
「え?あ、ちょっと!」


次の買い物をしなければいけないので、早くここを去ろうと思ったのに沢田くんに腕を引かれてつんのめる。何ですか、と視線で訴えた。


「すっごく忙しそうだからどうしたのかなぁ…なんて。あ、あははは…」
「…ヴァリアー邸に不在していたことの謝罪の電話を入れたら、ザンザス様が突然来日を宣言なさったのです。おかげで準備が忙しくて」
「え、えぇっ!?ザンザスって、あのザンザス!?」


他にどのザンザス様がいらっしゃるのか。あの横暴で我儘で傍若無人な方以外にいらっしゃるなら是非とも教えていただきたいものだ。


「いつか潰す」
「こわっ!!」


何が怖いんですか?と笑顔を貼り付けて沢田くんに尋ねると全力で「なんでもない!」と首を横に振られた。

こんなに日本に、並盛に来る回数が多いのだからマンションでも買い取ってはどうなのかと思う。お金なら有り余るほどあるのだから。

では今度こそ失礼します、と多くの荷物を持って次の店に向かった。


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