辛抱する木に金が生る(1/2)


この時代ではリング、それと匣が戦いの要となる。リングは死ぬ気の炎を灯す媒介であり、リングに炎を灯すのに必要なのは確固たる覚悟。それとリングの属性にあった波動。波動は7種類。ボンゴレリングの7種類と同じ。
リングのランク、匣兵器の強さ、炎の威力。この3つこそが戦いを左右する重要素だ。


「いいかぁ。まずは炎の説明からする」


ヴァリアー邸内の訓練室にて、指導役を買って出てくれたスクアーロ様と対峙しながら渡されたリングを観察する。


炎には7属性、「大空」、「嵐」、「雨」、「雲」、「晴」、「雷」、「霧」がある。その炎にはそれぞれ性質があり、大空は調和。嵐は分解、雨は鎮静、雲は増殖、晴は活性、雷は硬化、霧は構築。そんな具合だ。

炎の色は純度が高くなるほど色は鮮やかになり、高純度な炎ほど属性の持つ特徴をより強く引き出す。また、一人が複数の属性の素質を持つこともある、とのこと。

この属性をどう扱うかが、戦闘で要になりそうだ。ただの相性勝負と思えば楽かもしれないが、一人が持てる属性には限りがあり、メインの波動以外は微弱なものが殆ど。そういうところも考えて戦わなければいけないのだろう。


「そのリングにはヴァリアーの名前が彫られているだろう」
「ええ」
「そいつはヴァリアーリングっつってな、今のおまえが持ってるリングの中で、おそらく最上級の精製度のリングだぁ」


スクアーロ様の指に目を向けると似たような形状のリングがその指に嵌っているのがわかる。幹部クラスに与えられるリングであるのか。
それからリングに巻き付けられているチェーンに目が行く。何か重要な役割を果たしている鎖のようだ。


「何だ?…ああ、マモンチェーンのことか。リングはそれ自体が波動を放っているからな。外に出る時はこのチェーンをリングに巻いておけ」


マモンチェーンと言うこの鎖はリングの力を封印するもの。そのままであれば敵に感知されてしまう。一瞬の気も緩められないなんて。まるで外の世界全てが戦場のようだ。


「次は炎を灯すことか…。いいか、覚悟を炎にするイメージだ」
「覚悟…ですか」


なんとも抽象的であると思う。覚悟だ、なんてパッと言われても形にしようがないと思うのに。覚悟覚悟。私の中で思い付く覚悟なんて、一つしか思い当たらない。私の覚悟……


「お金」


ボッ。リングに紫、バイオレットの炎が灯った。こんな感じですか?とスクアーロ様に顔を向けると、スクアーロ様は顔を手で押さえて天井を仰いでいた。何をしているのだろうか。


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