▼人生、意気に感ず(1/5)
電撃が走った。光る巨人が現れた。敵味方関係なく、そこにいる全員の動きが止まった。 白蘭とは正反対の位置に目の下の痣がある。ベル様の攻撃がすり抜けた。骸くんの言うことにはあれは実体。だが、レヴィ様による炎の攻撃もすり抜けた。あらゆる物理攻撃をすり抜けている。
バジルくんの雨イルカによるコンビネーション技を受けた途端、GHOSTに変化が訪れた。彼の周囲に幕が発生している。
光る巨人、GHOSTの周囲をドーム状に囲った膜から触手のようなものが飛び出した。その触手に触れたブルーベルの体が枯れるように干からびてしまった。あの光る触手のようなものに触れたら最後のようだ。炎が吸い取られる。リングも匣も通用しない。
「こうなっちまったら敵も味方もねぇ…全滅だァ!!」
リングを着けていては勝手に炎を垂れ流しにされ、かと言って物理攻撃は効かない。成す術などない。これぞ絶対絶命、という状況ではないか。
「リングと匣の炎が奪われて、もーヘロヘロだぜ」 「ミーのすごい匣の出番もなくて残念ですー」 「このままでは全滅だ!いったん引くか!?」 「ダメだ!あのヤローは真っ直ぐユニのもとへ向かってやがる!食い止めねーと!」
獄寺くんの言う通り。ユニさんを死守することがこの戦いの意味なのだ。
「なんだか、大変なことになっちまってんな!話しには聞いていたがこの炎の吸収… 想像以上だぜ…みるみる疲労していく」
山本くんだ。遅れて登場。疲労の色が顔に出ている。私は右に左に避けて直接対抗していないからわからないけど、やっぱりあれが直接触れるのは相当危険なんだろう。
「それでも何とかあの巨人を止めねーとな」
あ、生きてたんですか、あの暴鮫。
「おせーぞ、カスが」 「グッ…!すまねーなァ!!」 「何してたの?待ってたのよぉ!」 「おのれぇ…生きておったか…!」 「超がっかり…!」 「約2名、隊長の生存を本気で残念がっていますー」
私はどうしよう。って、そんな遊んでいる場合ではないか。前に一歩出て触手を避ける。 放出している雷の炎が激しくなった。ここに来た時のテレポーテーションに似ている。ユニさんのところまで瞬間移動するつもりか。
「それはさせない」
沢田くんの声だ。零地点突破・改の構え。吸収に吸収で対抗するつもりのようだ。凄まじい吸引力。私達まで吸い込まれてしまいそうだ。
「あっ」
ふとした油断で踏ん張ることを緩めてしまった私の体が宙に浮いた。向かう先は勿論あの吸収合戦。呑み込まれる。
「何してやがる」
私の体を受け止めてくれたのは驚くことにザンザス様だった。一瞬の驚愕による沈黙の後、「申し訳ありません」と謝罪を入れた。「ああっ!」だか「うぉおぁあ!」だか何だかわからない叫びがレヴィ様の方向から聞こえた気がするが、気がするだけで気のせいなんだろう。
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