聞いた百文よりも見た一文(1/3)


ユニさんの提案の通り、手負いの私達は森で一晩を過ごすこととなった。梟の鳴き声が木霊している。野宿だなんて、いつぶりだろうか。獣に襲われることがまずなさそうなのが幸運だ。
とは言え、見張りは必要だ。地面に腰をついて、銃を立て掛けながら暗い森の先を見つめる。

明日の朝の戦いに勝利出来れば、私達は過去へ帰れる。その事実に安堵した沢田くん達は既に寝入った。しっかり体力を回復させてくれればいいのだが。


欠伸を噛み締めて夜空を眺めていれば、寝ていたと思っていたユニさんがそこにいた。眠れないのか。隣へどうぞ、と勧めれば彼女は瞼を擦りながら座った。微笑む彼女は今一体何を思っているのか。


「大切なものは、見つかりましたか?」


なぜ彼女がそれを…?と一度は思ったが、そうだ。彼女は不思議な力を持っているのだ。

未来の私が過去の私とこうして入れ替わった理由。どんな思惑からか、なんとなくわかってきた気がする。ある程度の推測にはすぎないが。


大事な預かり物の指輪に、服の上からそっと触れた。「あと少しで見つかりそうです」ユニさんからの質問にはこう答えた。


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