▼残り物には福がある(3/3)
ブラックスペルのγ。そして太猿と野猿。彼らは確か、ジッリョネロファミリーの時からのユニさんの部下。ユニさんを助けに来たのだろう。
この調子ならユニさんを取り戻せる、と思ったのにだ。トリカブトが匣兵器を使った。修羅開匣。ディーノ氏から連絡があった匣のことだろう。人間の体の中に匣を埋め込む。気色の悪いものを開発したものだ。
ぐらぐらと視界が揺れる。目が回る。強力な幻術だ。跳ね返すことはまず無理。トリカブトと交戦する沢田くんにとってこの状況は不利にしか働かない。だが逆を言えば幻術さえどうにかしてしまえば、後はどうにでもなる。
「クロームさん。私は貴女ほど幻術の才能に優れてはいない」 「アル…」 「ボンゴレ匣を使って」
「…うん!」と力強く頷いて彼女は開匣した。
「ボス!大空の子の右側!」
クロームさんの指示に従って沢田くんは動く。その先にはトリカブトが確かにいる。ヒットした。沢田くんの目を務めるように、クロームは正確に居場所を伝えていく。
「あれが初代霧の守護者が使っていた武器と同じボンゴレ匣。実態の掴めぬ幻影と謳われた、D・スペードの魔レンズ」
沢田くんに攻撃されて幻覚を維持出来なくなったトリカブトは姿を現し、景色が元に戻った。
ボンゴレ匣。T世ファミリーの武器を使えるこの匣は確実に戦力になる。トリカブトがやられた真6弔花の桔梗、ブルーベルは一時撤退した。
一先ずの危機から脱することが出来たとは言え、こちらはかなりの被害を負った。不動産屋の入口を固めていた獄寺くん、笹川さんの傷は特に酷い。騒ぎになる前にここを立ち去り傷を癒すべきだ。この状態では遠くへは行けないだろうが。
「どこに移動したら…」 「沢田さん。森へ行きましょう」
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