▼残り物には福がある(1/3)
過去から未来に帰って来て言葉通り束の間の休息しか与えられなかった。お茶を飲む程度の時間。その一時のうちにボンゴレアジトに侵入者が現れた。
「バーロー、見つけたぜ。ユニ様」
真6弔花のザクロという男。欠伸をして余裕そうにしてはいるが、庇うように腕を前に出しているスクアーロ様のリングには炎が灯っている。既に私達は攻撃されているのだ。目に見えない嵐の炎をスクアーロ様の雨の炎で相殺している。
「オレも残るぜスクアーロ!」 「うぜぇ!まだオレの事が分かってねぇーなぁ…そろそろ一人でゆっくり静かにひっそり暴れてーんだァ!!」
ブフッとリボーン先生が噴き出した。私も笑いそうになる。辞書で「静か」という単語を引いてみてはどうだろうか。
さて。この場に残ってもスクアーロ様は迷惑そうにするだけであり、ただの足手纏いにしかならない。私達は即刻この場から退避するべきだ。
「行きますよ、沢田くん。ユニさん」 「で、でもスクアーロが…!」
問答は無用。二人の腕を引っ張ってアジトの出口へと急ぐ。
「いいかぁアル!指輪はぜってぇ無くすんじゃねぇぞ!!」
なぜそんなにあの指輪にこだわるのか。ともかく了承した、とそちらを向かずに頷いた。
アジトから脱出後、これからどこに身を隠すかという話になり、結果ハルさんの知り合いが経営している川平不動産に向かうことになった。 それが決まった途端、アジトの入口が爆発した。無線からしたのは「ユニを連れて逃げろ」というスクアーロ様の言葉。
「いいか!アル!テメェにゃ不要の言葉かもしれねぇが……死ぬんじゃねぇぞ」 「……出来る限りの努力は致します」 「早く行け…この、クソがァ!!」
私は金と自分の命が最も好きだ。つまりこの場から逃げ出すことが最優先。なのに、なのになぜ胸が痛むのだろう。
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