▼金字塔(7/7)
「君のような男に継承を認めて、それが後々どう転ぶのか見てみるのも悪くないかもしれません」 「継承?僕はそんなものには興味ありませ、クハッ!」 「私を置いて行ったら意味ないじゃないですか」 「骸――!?それに、アル!?」
跳び蹴りの要領で骸くんの顔面を蹴り飛ばした。どうもこんばんは、と沢田くんに挨拶を入れる。
「クッ…!やりますね、アル」 「うるさいですね。貴方はもう用済みなんです。とっとと帰ってください。いや失せろ脱獄囚」 「辛辣――!?」
いいから去れ、と手を払うと骸くんは嘆きつつ帰って行った。彼の姿はクロームさんのものへと戻る。彼が関わると物事が慌ただしくて仕方がない。
こうして無事、彼女の継承が終わった。これでも心配していたのですよ?と言うと、クロームさんはいつものように頬を染めながら「…ごめん」とだけ言った。謝るのではなくて他の言葉が欲しかったのですがね、とポンポンと頭を撫でた。
「稲葉アル」とプリーモから名前を呼ばれたので、そちらを向いた。
「守護者でないにも関わらず、よく俺の頼みを聞いてくれた」 「いえいえ。お礼はボンゴレ9代目の枕元に立って『ヴァリアーの運用金を増やせ』とだけ言ってくれればそれで構いませんので」 「結局金かよ!!」
世の中金なんですから、当然のことでしょう、沢田くん。
沢田くんの継承も、プリーモの意志を継いでいるからということで何事もなく終了。これにて全ての継承が済まされた。
「ではマーモン様。帰りましょうか」 「やれやれだね」
「あの」と呼び止められた。振り返ると呼び止めたのはクロームさんだとわかった。
「あ、ありがとう」 「礼を言われる覚えはないよ。君自身、少しは腕を上げてたみたいだったしね」 「テメェこんなとこにいやがったのかァ!!探したぞぉ!!」
背後からスクアーロ様に鷲掴みにされたマーモン様が「ムギャッ」と呻き声を上げた。お可哀想に。マーモン様の頬を引き伸ばししながら、ベルフェゴール様がこちらを向いた。
「ししし。勝手に遊び回って、ボスかんかんだよ?」 「遊んでいた覚えは…いえ、早く帰りますか」
ザンザス様のストレスはスクアーロ様に向かうでしょうが…私が被害者となるわけではないので良しとしましょう。
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